国内大手のグルメサイトである「食べログ」。実際に情報を掲載していたり、有料会員としてお店のアピールのために利用したりしている飲食店も多いと思います。
食べログは飲食店に対して匿名でレビューを投稿できる場でもあります。ユーザーから良いレビューを書いてもらえれば集客に繋がる一方、虚偽の風評が投稿されてしまうと、そのレビューは多くの人に閲覧され、客足が遠のいてしまう恐れもあります。
本記事では、もしも自店のレビューとして法律や食べログの口コミガイドラインに反する投稿をされてしまった場合の削除申請方法やポイントを紹介します。
食べログってどんなサイト?
食べログは「お店選びに失敗したくない人のためのグルメサイト」として運営されている日本最大級のグルメサイトです。月間約1億767万人以上が利用していると言われ、81万件の掲載店舗数や9,290万の写真掲載数を誇ります。
食べログを運営しているのは、株式会社カカクコム。有名な価格比較サイト「価格.com」や、ライフスタイルメディア「キナリノ」、旅行情報メディア「icotto(イコット)」などをはじめとした数々のサービスを運営している企業です。食べログのような口コミ投稿サイトとしては、旅行口コミサイト「4travel.jp(フォートラベル)」も運営しています。
食べログのユーザーに対する影響力は高い?
食べログは、多くのグルメサイトの中でも特にユーザーに対する影響力が高いとされています。実際に、食べログは利用者数も多くいます。食べログに掲載されている順位や口コミによる売上の増減を実感している飲食店も少なくはないでしょう。
食べログの口コミは現在も多くの人が閲覧している
食べログは、ホームページだけでなくアプリでも多くの人が利用しています。Googleマップの口コミなども認知度を上げてきたとはいえ、まだまだ影響力があるサイトだと言えます。
2019年にPC版のトップページをリニューアルし、さらに見やすくなっただけではなく、2020年にはテイクアウトの需要に合わせて食べログアプリでの「テイクアウト可能店舗」の検索機能強化を実施しています。
引用:Twitter
Twitterは18万人、Facebookは23万人と多くのフォロワーを抱え、こまめな更新を続けています。食べログと同じようなグルメ店舗検索サービスサイトとしては「ホットペッパーグルメ」や「ぐるなび」「Retty」などが挙げられますが、これらのサービスの利用経験率を比べてみると「食べログ」が1位であるというアンケート結果も出ています。(※TesTee(テスティー)調べによる:https://www.testee.co)
これらの事実を踏まえると、もしも食べログに掲載された店舗のページに風評口コミが投稿されてしまった場合、これから店舗を利用しようとしていたユーザーがその投稿を見て利用を控えてしまう可能性もあり、少なくとも多くの人に悪い印象を与えてしまう恐れがあると考える事が出来ます。
参考:PR TIMES「食べログ」、テイクアウト可能店舗の検索機能を強化 アプリトップから、お店をワンタップで地図検索!
参考:飲食店検索サービスに関する調査【前編】 | TesTee Lab(テスティーラボ)
食べログの影響力は大きいと考えている飲食店も多い
公正取引委員会が2019年に行った実態調査では、飲食店の約57%が「グルメサイトの影響力は大きい」と回答しているという結果が出ています。そのため、食べログの評価や口コミ内容を巡って飲食店と食べログ運営(株式会社カカクコム)との間で法的な争いもしばしば起こっています。
直近では2020年の9月に「食べログでの評価や口コミの影響で売上が下がった(チェーン店であることを理由に不当に評点を下げられた)」ということを理由に、とある焼肉チェーン店の経営会社が株式会社カカクコムを相手に訴訟を起こしました。こちらの訴訟についてはまだ決着はついていません。
2013年には、札幌市の飲食店経営者が「食べログの口コミに『出てくるのがおそい』『まずい』と書き込まれた結果、来客数が減り営業上の利益が侵害された」として訴訟を起こしましたが、棄却されています。
参考:飲食店の評点、突然下がり赤字 グルメサイトの言い分は:朝日新聞デジタル
参考:食べログの口コミ「不当に下げられた」 焼き肉店が提訴:朝日新聞デジタル
食べログに悪い口コミがついてしまうのはどういうとき?
食べログに悪い評価や口コミがついてしまうのは、主に以下の場合が考えられます。
- 店舗でトラブルが起こった場合
- 提供した商品の味に満足出来なかった場合
- 店舗スタッフの対応が悪かった場合
- 店舗の立地が悪かったり、内装に満足出来なかった場合
食べログで人気のある口コミを投稿しているユーザーがどんな事を書いているのかを見てみると、提供している商品の味だけではなく、店全体の雰囲気やサービス、スタッフの対応、立地などについても言及されている事がほとんどです。
食べログの口コミについては、この後本記事内で確認する「口コミガイドライン」によれば、個人のクレームは書き込んではいけないルールになっています。
しかし、口コミを投稿するユーザーの中には「店内でおこった事や自分が感じた事を丁寧に全て伝えたい」と考えている人も多いため、食事の味以外でも個人的に納得できない体験をしてしまった場合、その点についても口コミとして投稿してしまう事があるのです。
その他、食べログは元々店舗の情報が登録されていなかった場合、会員登録をしているユーザーが必要な情報を書き込むことで新しく店舗を追加できます。そのため、店舗の経営者が全く気付かないうちに食べログに風評口コミが投稿されているという事もあるため注意が必要です。
食べログの口コミ対策はどうなっている?
食べログのホームページ上では「食べログは中立公正な立場で口コミサイトを運営しております。」と記載されており、運営側は特定のお店の口コミを削除したり、点数を運営側で変更したりする事はないとしています。
さらに、その対応は株式会社カカクコムに対して広告費を払っている「食べログ店舗会員」に対しても同様であるとされています。食べログのFAQに寄せられた「食べログの点数を上げることができるという、やらせ業者の噂を聞いた。対策はできているの?」という質問に対する回答は、以下の通りです。
・すべての口コミについて、システムによるチェックはもちろん、専任チームによる全件目視での確認を行っています。また、やらせ業者特有の動きを検出し、アカウントの停止・口コミ削除を行っています。
・「携帯電話番号認証」や、ユーザー登録について実名登録のFacebook認証を用意するなどして、ユーザーの実在性を確認・表示しています。
・弊社メンバーが全国各地でオフ会を開催し、ユーザーの方々と実際にお会いしています。
・全国の食べログ店舗会員等と連携し、業者からランキングや口コミを不正に操作するような提案があった場合に、ご通報いただく環境を整備しています。
食べログには投稿された口コミを確認する専任チームが存在しており、投稿された口コミは全件目視で確認されます。専任チームの人員が食べログのルールに違反すると判断できる口コミを見つけた場合には、該当の口コミを削除したり、書き込んだユーザーのアカウントを停止したりして都度対応することで、口コミの質を維持しているようです。
食べログに掲載された口コミを削除したい!ルールを確認しよう
食べログでは「利用規約」のほか、口コミに関するルールとして、公式ホームページ内に「口コミガイドライン」が掲載されています。また、掲載画像に関しては「画像ガイドライン」が公開されています。まずは、こちらのガイドラインをよく確認しましょう。利用規約には、口コミの削除として以下のポイントが記載されています。
[1]ガイドラインに反するもの
[2]公序良俗に反するもの
[3]食べログの趣旨、又は口コミの対象となるお店と関係のないもの(日記を除く)
[4]有害なプログラム・スクリプト等を含むもの
[5]営利を目的としたものや個人的な売買・譲渡を持ちかける内容、宣伝行為に関するもの
[6]その他、食べログの管理運営を妨げる等、当社が不適切と判断したもの
利用規約の方に「ガイドラインに反するもの」と記載されているので、ガイドラインも確認します。「口コミガイドライン」によると、以下のような内容は「ガイドラインに違反している」と言えます。
・実際に食事をした内容を具体的に記述していないもの
・お店への悪影響を及ぼす、かつ内容の確認が困難なもの
・衛生管理面のクレーム
・お店の法律違反・契約違反に関する内容
・個人への誹謗中傷や店舗への断定的批判および不適切な表現
・お店への個人的なクレームやトラブルに関する内容
・トラブルのあったお店への口コミ
・プライバシーを侵害する内容
・著作権など知的財産権を侵害する内容
食べログの口コミは「実際の食事内容を具体的に記述」していない場合はガイドライン違反になります。また、お店との間でトラブルがあったユーザーの口コミ投稿も認められていません。そのため、もしも対応した従業員が口コミの内容を見て「トラブルのあったユーザーだ」と断定できた場合は、削除申請の際に理由のひとつとして「店内でトラブルを起こしたユーザーである」という旨を添える事ができます。
また、「この価格設定は詐欺」「この店には行く価値がない」などの断定的批判もガイドライン違反の対象となります。店舗の法律違反・契約違反や衛生管理面について指摘したい場合は、口コミではなくしかるべき機関の方に通報するよう、ガイドラインに書かれています。
食べログに掲載された口コミを削除する方法とポイント
食べログでは、不適切な口コミを通報する機能があります。自店のページに掲載された風評口コミがガイドライン違反である事を確認できたら、まずはこちらの方法で削除申請をしてみましょう。
1.まずは、削除してほしい口コミの下部にある「問題のある口コミを連絡する」をクリックします。
2.お問い合わせフォームの入力画面が表示されるので、タイトルは変えずに「メールアドレス」と「お問い合わせ内容」を記入します。全て必須項目になっているので、漏れのないように記入しましょう。
「お問い合わせ内容」の欄には、削除したい口コミが食べログのガイドラインや利用規約または法律のどこに違反しているのかを明確に記入するのがポイントです。
報告を受けると、食べログの運営が再度口コミを審査します。もしも再審査でガイドラインや利用規約、法律に違反していると判断された場合、食べログの運営は一度口コミの公開を停止した上で投稿者に修正を依頼したり、口コミの削除を行ったりします。
削除を行うか修正依頼をするかの判断は食べログの運営が行い、申請者にその結果が通知される事は基本的にありませんので、申請後は自分で確認するようにしましょう。だいたい2週間程度様子を見て該当口コミの修正や削除が行われなければ申請が通らなかった可能性が高いと言えます。
参考:食べログ公式ホームページ 不適切な口コミへの対応について
自分が食べログに投稿してしまった口コミは削除できない
実際に食べログを活用しているユーザーで、何らかの理由で「訪れたお店に対して悪い口コミを投稿してしまった」という方もいるかもしれません。しかし、食べログでは「利用規約」に記載されている以下の記述の通り、退会を行っても退会以前に投稿した口コミは削除されません。
食べログ会員は、退会手続によっても、自らの投稿した口コミ内容は削除されないことを予め承諾するものとします。
自力で削除出来ない場合は弁護士に依頼
もし、食べログに書き込まれた口コミが法律に違反しているにもかかわらず、申請しても削除対応をしてもらえなかった場合は、削除申請の際に「削除すべきである根拠(どの法律に違反しているのか)」などを上手く説明できていなかったことが大きな理由だと考えられます。そのような時は、法律のプロである弁護士に相談するのが賢明です。
また、弁護士であれば削除申請自体を代理として依頼することが可能なため、「削除したいけど、申請にかける時間や人手がない」「削除できる可能性を少しでも上げたい」と考えている場合は、弁護士に削除依頼をしてもらいましょう。
その他、食べログに書き込まれた口コミによって店舗側が大きな被害にあってしまい、投稿者と特定して責任を追求したい場合も、基本的に弁護士によるサポートが必要になります。大まかな流れとしては、以下のようになります。
- 投稿された口コミが違法である事を立証し、食べログにIPアドレス・タイムスタンプを開示してもらう(1回目の裁判「発信者情報開示の仮処分」)
- 開示されたIPアドレスからプロバイダを特定する
- 必要であれば、プロバイダに対しログの削除禁止(発信者情報消去禁止の仮処分)の手続きを行う
- プロバイダから投稿者(※投稿を行った端末の契約者)の住所・氏名・メールアドレスを開示してもらう(2回目の裁判「発信者情報開示の本案訴訟」)
民事責任・刑事責任どちらの場合でも、相手が特定されなければ責任の追求をすることは困難です 。食べログは匿名で利用できるサイトであるため、このように「発信者を特定するまで」だけの行程でも最低2回の裁判を行わなくてはならならず、投稿者の情報を特定して初めて損害賠償などの話に移る事が出来るのです。これらの行程を全て行うには、長い時間と詳しい法律の知識が必要となります。
削除不可能な場合は誹謗中傷対策の会社に相談
食べログに口コミの削除依頼を出しても、対応して貰えなかった場合(記入の不備ではなく、ガイドライン等に違反していない場合)や、弁護士に相談した結果「法律に違反した口コミ」とは言えないと判断された場合は、該当の口コミを削除する事は出来ません。
そういった場合は、いちどWEBのコンサルティングを受けてみることをオススメします。例えば、誹謗中傷対策を行っている会社では、食べログに載った悪い口コミが検索結果の上位に表示されにくくなるようにする対策を行うことができます。
その他、店舗の公式ホームページを多くの人に見てもらえるように改善したり、食べログ以外のサイトから積極的に多くのお客さんを呼び込めるように対策したりするなど、様々な観点から店舗の売上を回復するサポートを行うことができます。
WEBコンサルティングや誹謗中傷対策を行っている会社はたくさんありますので、担当者とよく話し合い、予算や対策を行う期間なども相談しながら信頼できる会社を選ぶようにしてくださいね。
まとめ|食べログの口コミは影響力が高い!虚偽や風評の口コミは早めの削除申請を
食べログはグルメサイトとしては日本でも最大手と言っても過言ではない有名なサイトです。他のグルメサイトと比べてみても利用率が高く、掲載情報は多くの人に閲覧されやすくなっています。
そのため、もし虚偽の口コミや悪意のある口コミが投稿されてしまっているのを発見したら、早めに対処を行うことをおすすめします。基本的な食べログへの削除申請は個人でも可能ですので、ぜひ本記事の内容を参考にして頂けたらと思います。
ガイドラインや法律に違反しているのに、個人の力ではどうしても削除に至らなかった場合や、被害状況が深刻になってしまい投稿者に損害賠償を請求したい場合には弁護士に相談し、力になってもらいましょう。ガイドラインにも法律にも違反しておらず、口コミの「削除」が困難だと判断された場合は、ぜひ誹謗中傷対策やWEBコンサルティングを行っている会社を頼ってみて下さいね。
ネットの誹謗中傷、風評対策のプロがお悩みを伺います。
風評サイトやサジェストのお悩みのほか、SNSや口コミサイトの監視など、幅広くご対応可能です。
清水 陽平