Googleのサジェスト対策とは、検索窓に会社名や個人名を入力した際、「サジェスト」と呼ばれる予測変換に不都合なキーワードが表示されないようにする対策のことを言います。
サジェストはユーザーの入力を補助し、キーワードに関連した情報にアクセスしやすくする便利な機能です。しかし、もし自分が関心を持っている会社名やサービス名などを入力したとき、その社名や商品に関するネガティブなワードがサジェスト欄に表示されているのを発見したら、ユーザーはどのように感じるでしょうか。
入社を考えている方であれば応募を控えてしまったり、商品の購入を検討している消費者であれば買うのをやめてしまったりするかもしれません。スマホやPCで多くのユーザーが検索エンジンを利用している現在の状況では、サジェストがユーザーに与える印象の影響は大きく「どのようなワードが表示されるか」ということが非常に重要となっています。
万が一、自分の会社や商品、氏名などに関するサジェストにネガティブなワードが表示されてしまった時はどのように解決すれば良いのでしょうか。その対処方法や自分で(個人で)対策できるのか、などについて以下で見ていきましょう。
サジェスト対策とは
サジェスト対策とは、GoogleやYahoo!などで検索を行う際、キーワードを入力すると表示される「サジェスト」(Googleでは「オートコンプリート機能」と呼んでいます)を最適化する対策のことを言います。
ここでは、「サジェスト」の概要から「サジェスト対策」について、どのようなものなのかを詳しく解説していきます。
サジェストの仕組みを理解する
引用:https://www.google.com/
「サジェスト」とはGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用する際に表示される「予測変換機能」のことです。
各種検索エンジンの検索窓に自分が行きたいエリアやスポットなどのキーワードを入力したとき、そのキーワードと関連性のあるキーワードが自動で表示された経験のある方は多いのではないでしょうか。
この仕組みが「サジェスト機能」で、付随して表示されるキーワードは「サジェストキーワード」と呼ばれています。
例えば、検索窓に「お好み焼き」と入力すると、お好み焼きのレシピや材料、店舗があるエリア名などがサジェストキーワードとして表示されます。
サジェストはGoogle以外にもYahoo!やBingといった検索エンジン、Amazonなどのオンラインショップ、YouTubeなどの動画サイトやX(旧:Twitter)などのSNSといったあらゆる検索機能で採用されています。
Yahoo!サジェストとGoogleサジェストでは何が違う?
引用:https://www.yahoo.co.jp/
Yahoo!とGoogle、両者で全く同じ検索語句を入力した場合でも、表示されるサジェストワードには少し違いがあることがわかります。上の「お好み焼き」の場合で比較してみましょう。
Yahoo! | レシピ 広島 具材 ひらの 広島 小麦粉 キャベツ 切り方 焼き方 カロリー 大阪 卵なし |
ひらの 作り方 粉 ひらの 広島 具材 レシピ 本舗 ひらの お取り寄せ |
同じワードも表示されていますが、Yahoo!だけに表示されているワードとGoogleだけに表示されているワードもあるのがわかります。それぞれサジェストに表示させる仕組みが異なるため、このような違いが出ます。
Yahoo!サジェストの仕組み
Yahoo!サジェストに表示されるキーワードは、自分も含めた全ユーザーが現在までに検索した複合ワードの累積データによって決まる仕組みとなっています。
上の例であれば「お好み焼き」と入力するユーザーの多くは、お好み焼きのレシピや具材、カロリー、お好み焼きが美味しいお店について知りたがっている傾向にあるということが分かります。
このように、Yahoo!はYahoo!検索を利用する大勢のユーザーが行った検索の結果データを蓄積し、そのデータから「大多数の人が知りたいこと」の傾向を予測し、「サジェスト」として表示させるのです。
Googleサジェストの仕組み
Googleの場合、サジェストのことを「オートコンプリート機能」という名称で呼んでいます。英字で表記するとAuto Complete、つまり「自動補完」機能という意味で、ユーザーが入力したキーワードに関連したワードを自動的に補完して、表示させてくれます。
Googleは、サジェストや検索結果を決めるために、検索を行うユーザーのニーズを非常に重要視しています。
検索窓に入力される「質問」のことを「検索クエリ」と呼んでいて、インターネット上に、キーワードに関連した、どんなサイトが存在しているか、キーワードに関した情報、ユーザーが疑問を持っている内容についての回答が掲載されているか、という情報が検索結果に影響します。
これまでに調べられた、検索クエリの累積によって、サジェストにどのようなワードが表示されるかが決まります。
冒頭に取り上げた画像の例では、Googleの検索窓で「お好み焼き」と入力するユーザーの多くは、お好み焼きのレシピや具材に加えて、お好み焼きが美味しい広島の店舗や、お好み焼きの取り寄せについて知りたいという欲求があり、これらのページにアクセスしていく傾向が高いということが分かります。
Yahoo!のサジェストキーワードが、検索数が機械的にカウントされた結果によって決定されるのに対して、Googleの場合には、検索を行うユーザーのニーズが反映された形で決定されるため、よりネットユーザーがどのような情報を欲しがっているのかという点が見えやすいのです。
サジェスト対策とは何をするのか
先ほど、サジェスト対策は「サジェスト(Googleでは「オートコンプリート機能」)を最適化する対策」だと紹介しました。ここでは、「サジェスト対策」をもう少し具体的に説明します。
サジェストは、多くの人々が検索を行い蓄積されたデータからワードを選出し、表示させています。そのため、ニュースやSNSなどの影響で多くのユーザーが一斉に同じワードで検索した場合、そのワードが「サジェスト」として表示されてしまいます。
つまり、企業やブランドにとって悪いニュースが広まってしまった場合、それが誤解や何年も前に解決済みだった事件であってもサジェストに悪影響を及ぼす場合があるのです。例えば、「ブラック」「事故」「やばい」などのワードが企業名を検索した際のサジェストとして表示されることもしばしばあります。これを「サジェスト汚染」と言います。
この汚染されたサジェストを、もとのクリーンな状態へ戻していく対策が「サジェスト対策」となります。
サジェスト対策のメリット
サジェスト対策ではどのようなことを行うのか理解したところで、続けてサジェスト対策を行うメリットを考えてみましょう。
費用対効果の高さ
インターネット関連の専門家にサジェスト対策をお願いした場合、ワードによって違いはあるものの最短数日程度で成果が出始めることもある点はメリットと言えるでしょう。
検索エンジン最適化(SEO対策)よりも低コストかつ成果が出るまでの期間が比較的短めなので、SEO対策を行うほどの予算がない場合や、とにかくサジェストだけでも早く対策したい場合などにとりいそぎサジェスト対策を行うといった選択肢もあります。
もちろん、サジェスト汚染の原因にはインターネット上にアップされているサイトも関わっている事を考えてSEO対策と同時進行でサジェスト対策を行う企業もたくさんあります。
ブランディング効果
サジェスト対策は、ブランディングにも効果があります。
企業やブランドの不利益に繋がるようなサジェストワードが出現している状態(=サジェスト汚染)から、クリーンな状態へ戻していくサジェスト対策では、基本的に企業にとって利益のあるワードや中立的なワードでネガティブワードを押し下げることを目標とします。
例えば飲食店の場合、対策によって「店舗名+おすすめ」「店舗名+おいしい」「店舗名+アクセス」などのワードが表示されれば、ユーザーに「おすすめの人気店なのでは?」という印象を持ってもらえるメリットがあります。
ブランディングや広告目的で、とくにサジェスト汚染が起きていない場合でもサジェスト対策を行っている企業もいるようです。
Googleサジェスト対策が必要な理由!サジェスト汚染とは?
インターネット上の情報と大多数の人の関心が反映されて、ユーザーの検索を補助をしてくれるサジェスト機能ですが、多くのユーザーが利用する検索窓にネガティブなキーワードが表示されてしまった場合、大きな影響を及ぼします。
サジェストにネガティブなワードが表示されてしまう状況と、その影響範囲について見ていきましょう。
サジェスト汚染とは?
検索窓に会社名や人物名などを入力した際、サジェストキーワードに「ブラック」や「アホ」といった、該当の会社や人物を中傷するようなワードが表示されてしまうことがあります。
このようなネガティブなサジェストキーワードが複数表示されてしまう状態を「サジェスト汚染」と呼びます。
サジェストに表示されるワードは、これまでにユーザーが行った検索回数や、検索クエリによって決まります。そのため、以下のような状況があれば、当然のことながらネガティブなワードがサジェスト上に表示されてしまう可能性があります。
- 入力したネガティブなワードに関する情報が掲載されたページがネット上に存在している
- 該当のワードの組み合わせで一定数以上検索されてしまっている
もしもこのような状態を発見したら、ユーザーに対する影響が大きくなる前の対策が必要です。
Googleのサジェスト対策が必要な理由1 ネームバリューの低下防止
サジェスト汚染が発生してしまった場合、会社名、個人名ともに、ネームバリューやブランド力が低下していきます。検索窓に特定の名前を入力して検索するユーザーの多くは、その会社や個人に関する評判を知りたがっている場合が多いためです。
これは、就職活動を行っている学生の立場から考えてみると非常にわかりやすいです。ある学生が就職フェアに足を運び、会場で興味を持った会社の入社説明会に参加したとします。
会社についての説明を聞いて家に帰り、入社について考え始めた時に、検索窓に社名を入力します。この時に学生が考えるのは、その会社についてもっと良く知ろうという事に加えて「実際に入社した人がどのような経験をしたか、どのように感じたか、問題のない会社であるか」という第三者による客観的な情報を知りたいということです。
そのような時に「パワハラ」「残業」など、会社の体質に関するネガティブなサジェストワードが表示されており、そのサジェストワードから転職サイトなどに書き込まれた悪い評判を目にしてしまったら、入社の意欲が低下してしまうでしょう。
また同じように、消費者側の目線で会社名を入力した時に「倒産」「勧誘」など、対外的な評判や噂に関するネガティブワードが表示されており、そのサジェストワードから掲示板サイトに書き込まれた悪い噂を見かけてしまった場合、「問題がありそうだから、この会社の商品を買うのはやめておこう」と考え購買意欲の低下に繋がります。
Googleのサジェスト対策が必要な理由2 ネガティブ情報へのアクセス防止
サジェスト汚染によってネガティブなサジェストワードが検索窓に表示されてしまうと、悪い情報が書き込まれたサイトに多くのユーザーがアクセスしてしまいます。
Googleの場合は特に、検索を行うユーザーのニーズと、ネット上にニーズを満たす情報が掲載されたページがどれほど存在するかという点によって、サジェストキーワードが決まります。
ネガティブなサジェストキーワードが表示されるということは、ユーザーがネガティブな評判の有無を知りたがっているということ。知らないうちに、良くない情報が掲載されたページがネット上に存在しているということもあるのです。
このような状況でサジェスト汚染が進んでいくと、ユーザーは良い情報よりも、悪い情報を検索しやすくなり、よりネガティブな情報を探し出しやすくなります。結果として、ポジティブな情報がユーザーに届きにくくなり、会社やサービスに対して、良い印象を抱きづらくなり、売り上げなどにも影響が出始めます。
Googleサジェスト対策の方法3つ!
自分達では予測できないところで第三者によってネガティブな情報が拡散され、サジェスト汚染が発生する場合があるということがわかりました。
ここでは、実際のサジェスト対策の方法や、自分で(個人で)サジェスト対策はできるのかどうかなどを解説していきます。
もし自分や自分の会社に関するネガティブなサジェストキーワードが表示されてしまったら、どのように対応していけば良いか、見ていきましょう。
サジェスト対策を行う前にGoogleの「オートコンプリートポリシー」を知ろう
Googleはユーザーが検索エンジンを便利に使用できるように「オートコンプリートポリシー」というガイドラインを定めています。
検索するユーザーに衝撃や不快感を与えてしまうような、以下の内容についての検索候補は、このポリシーに違反します。
・危険なコンテンツ
・ハラスメント コンテンツ
・ヘイト コンテンツ
・露骨な性表現を含むコンテンツ
・テロに関するコンテンツ
・暴力や流血
・下品な言葉や冒とく的表現
Googleは、このような不適切な候補がサジェストに表示されないように最善を尽くしています。しかし、ネット上で膨大に存在しているページに対して、それが及んでいるわけではありません。
参考:Google 検索のコンテンツ ポリシー – Google 検索 ヘルプ
対策1:サジェスト対策は自分でできる?
Googleサジェストの対策を、できればお金をかけず自分でできれば……と考える方も少なくはないのではないかと思います。
サジェストは、最初に説明したとおりGoogleやYahoo!のサジェストはユーザーが検索したデータを蓄積し、その検索傾向を反映しているものであるため、理論上では多くの検索を行えば「データ」を上書きできることになります。
しかし、上書き出来るほどのデータというと、当然2、3程度の端末でできるものではありません。膨大な量の端末と回線が必要になるため、個人でサジェストを操作することは現実的とは言えないでしょう。
自分で(個人で)できるサジェスト汚染の対策としては、後に紹介する「Googleに対して自分で、サジェストの削除申請を行う」方法を試したり、自分のSNSなどで地道にポジティブな発信を行ったりする方法が挙げられます。
いずれもコスト面では無料でできる方法ですが、これらの活動がサジェストに反映されていくのには時間がかかるということは覚えておかなくてはなりません。
Googleに対して自分でサジェストの削除申請を行う
サジェストに表れたキーワードがポリシーに反している場合には、Googleに報告することで削除してもらえる可能性があります。
検索候補の削除をしたい場合は、サジェストが表示された右下の「不適切な検索候補の報告」から申請します。
クリックすると、「削除したい候補の一覧」と「申請する理由」を選ぶページに進みます。「申請する理由」については、表示された検索候補がオートコンプリート上のどの項目に違反しているのか、該当の項目を選択します。
こちらは簡易的な申請方法となります。更にしっかりと法的な理由を明記して申請を行いたい場合には「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」のページから削除申請を行うこともできます。
対策2:弁護士にサジェストの削除申請を依頼する
自分で削除するのが難しい場合には、弁護士にサジェストの削除申請を依頼する方法があります。
被害者(自分)の代わりに削除申請を行うことができるのは、被害者から依頼された弁護士だけです。削除代行は一般の業者では行うことができないので、どうしても「削除」を行いたい場合は必ず弁護士に依頼する必要があります。
弁護士にはそれぞれ自分が得意とする専門分野があり、インターネット上の風評被害に対しての知識が豊富で、対応実績の多い弁護士がいます。このような弁護士であれば、汚染されてしまったサジェストが法律的にどのような権利侵害に該当するか判断して削除申請を行えます。
例えば「脱税」「ブラック」といった、言葉自体で権利侵害があるといえるものは、弁護士が対応できる余地があります。また、「勧誘」「5ch」といったそれ自体中立的な言葉や、「迷惑」といった感想に使う言葉は対象となりません。
依頼を検討している場合には、弁護士の紹介ページでこれまでの対応実績などを確認し、インターネット上のトラブルに強い弁護士を選びましょう。
対策3:誹謗中傷対策会社にGoogleのサジェスト対策を相談する
ネット上の誹謗中傷対策を行っている会社は、サジェストがネガティブなキーワードで汚染された時の対応や、多くの人に見られたくないネガティブな情報が検索エンジン上に表示されてしまった時の対策を行っています。
検索エンジンに対するしっかりとした知識・経験のある業者に相談すればサジェスト対策を行ったほうが良いのか判断してもらい、提案を受けることができます。「ネガティブなワードを表示させたくないけど、何から手を付けて良いのかわからない」という方は相談してみるのも良いでしょう。
先ほども注意したように、報酬をもらってサジェストを削除する等の示談交渉を代行出来る権限は、弁護士にしかありません。
しかし誹謗中傷対策業者への相談は、法的な削除が不可能な場合に示談交渉以外の手法での施策を行ったり、気になるキーワードが実際にどのくらい検索されているか調査した上で、本当に対策を実施すべきキーワードであるかなどのアドバイスをしてもらえたりする点はメリットだと言えます。
もちろん、サジェスト対策は依頼者のサイトやブランドが何らかのペナルティを受けないよう、慎重に行います。心配な場合は、業者のサイトなどで過去に行った対策実績を見たり、相談する際に担当の営業に詳しく話を聞いてみたりすると良いでしょう。
弁護士に相談して削除が困難だった時や、対策を実施するべきか判断できない場合には、業者に相談してみてましょう。
Googleのサジェスト対策は、ネガティブな影響が深刻化する前に行おう
サジェストキーワードには、検索エンジンを利用する大多数のユーザーの関心が反映されています。
そのため、サービスに関する具体的なキーワードや、前向きなワードが表示されていれば、サジェストはポジティブに機能していると言って良いです。しかし、もしもネガティブな評判や噂、不安を煽るようなワードが表示されてしまっていたら、サジェスト対策を検討しましょう。
サジェスト対策を自分で行いたいと考える方もいますが、結論的に個人で対策を行うことは難しく、現実的ではありません。速やかな解決の必要性があることなので、弁護士や誹謗中傷対策を行っている業者に依頼するのが賢明だと言えます。
サジェスト汚染が広がる前に早めに対策することで、長期的な視野でネームバリュー、ブランドを保護することに繋がります。
清水 陽平