ネット炎上予防

【弁護士監修】SNSの不適切投稿による炎上事例と対策

【弁護士監修】SNSの不適切投稿による炎上事例と対策

SNSにまつわるトラブルについて、ここ数年、ニュースでも目にする機会が非常に増えました。その中でも、従業員の不適切投稿による炎上リスクが後を絶ちません。

SNSはプライベート利用で、個人の問題と捉われがちですが、実際には企業に甚大なリスクを及ぼすケースもとても多いです。

不適切投稿を発端としたSNS炎上を防ぐため、自社でできる取り組みや対策について、具体事例などを交えながら解説します!

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なぜ、SNSが炎上するのか?

なぜ、SNSが炎上するのか?

ネット上で不祥事や失言が発覚した特定の対象(アカウント)に対し、非難や批判、誹謗中傷が殺到している状態が「炎上」と言われています。

SNSにおける炎上の代表的な例は、情報漏洩やバイトテロによる問題行動の拡散によるもので、個人の問題が企業の問題にまで発展してしまうケースも多いです。

その他にも次のようなものが火種として挙げられます。

  • 接客態度におけるトラブル
  • 個人のマナーや倫理観
  • 差別的な発言や表現
  • 内部告発
  • 法律違反

そもそも、SNS炎上を起こしてしまう根本的な要因は、個々人のリテラシーの低さや、社内の規程や教育の脆弱さが指摘されます。

自社の従業員がSNS炎上を起こさないように、対策を講じる企業も最近になって増えてきています。

SNSの不適切投稿で炎上した事例

SNSの不適切投稿で炎上した事例

SNSの炎上で個人による不適切投稿が増える中、その内容もある程度パターン化してきています。

炎上しやすい投稿の特徴は、多くのユーザーから共感や反感を受ける内容です。

実際に、ニュースやネット上等でも話題になったり、大きな問題に発展してしまった事例を紹介します。

不適切行為の暴露による炎上

全国チェーンの飲食店従業員が、自分が調理した食品を意図的にゴミ箱の中に投げ捨て、再度まな板に戻す様子を動画に収め、それをTwitterに投稿しました。

それを見た一般ユーザーから非難が集まり、投稿がどんどん拡散され炎上しました。

騒動後、従業員は退職処分とされ、会社側が法的措置の準備を行っていることも公表されました。

参考記事:くら寿司が『炎上店員』に法的措置 その理由に「素晴らしい!」「カッコいい」

情報漏洩による炎上

大手宿泊施設の従業員が、特定の有名人が来客した様子を個人のTwitterで投稿。守秘義務違反となる内容を複数更新し、大炎上しました。

従業員は入社時に、顧客情報の守秘義務の研修を受け、誓約書にも署名していたにもかかわらず騒動を起こしてしまいました。

その後、企業側は、「厳しい処分を下す」と公表しています。

参考記事:Twitterに有名人の来店情報を店員が投稿 ウェスティンホテルが謝罪

内部告発による炎上

炎上の火種が、当事者本人ではないところから起きた事例も紹介します。

大手化学メーカーで、夫が育児休暇を取得したことをきっかけに会社から受けた扱いについて、妻が告発ツイートを投稿し、SNS上で大きな共感を呼び炎上しました。

法的には問題がないはずの事案も、世論が許さなければ「社会的な制裁」を受けることもSNSの炎上の特徴といえます。

この会社は一時株価が大暴落し、炎上事後の対応も後手後手だったため、二次・三次炎上へと被害が拡大しました。

参考記事:株式会社カネカが炎上「夫が育児休業から復帰直後に転勤を内示され、退職」

公式アカウントの炎上

衣料品メーカーの公式Twitterアカウントが炎上した事例では、SNS上で行ったキャンペーンが問題となりました。

「タイツの日」と称される日程に合わせて、タイツを着用した女性のイラストをハッシュタグ付きで募集するキャンペーンが原因となっています。

投稿された一部のイラストに、性的描写を連想させる内容があったため、企業の発信する広告としては不適切であると指摘されました。

その後、企業は公式に謝罪しています。

参考記事:「アツギSNS問題」女性担当者でも、ジェンダー炎上してしまうたった一つの理由

「誤爆」による炎上

全国チェーンの飲食店公式Twitterアカウントで、不適切投稿が誤爆され炎上しました。

内容は会社に対する愚痴が長文で書かれたもので、後日投稿は削除され、公式の謝罪文が掲載されました。

投稿日がたまたまエイプリルフールと重なっていたので、一種の「ネタ投稿」と捉えたユーザーもいましたが、アカウントの切り替えミスによるヒューマンエラーが深刻なリスクになる場合もあるので注意が必要です。

参考記事:「不毛な打ち合わせに4.5時間…」 マック公式ツイッターが愚痴?「不適切」と謝罪

その他にも、炎上の事例をいくつか紹介した記事がありますので参考にしてください。

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SNS炎上後の事後対応について

SNS炎上後の事後対応について

時に防ぎようのないSNSの炎上は、起きてからの事後対応も非常に重要です。

もし、初期炎上の段階で適切な対応がとられなかった場合は、二次炎上、三次炎上に発展するケースもしばしば見られます。

また、最悪の場合、従業員に対する責任の追及が必要なこともあります。

具体的な内容に関しては、次の項目を押さえておきましょう。

謝罪

SNSの炎上は急速に拡散することが特徴であるため、謝罪対応のタイミングやその内容が非常に重要視されます。

また、SNSにおける炎上をSNS内で対処する際には注意が必要です。

例えば、公式アカウントが炎上した際に、慌てて公式アカウント内で謝罪投稿をすることは得策ではありません。謝罪内容によっては、余計に反感を買ってしまうリスクもあるからです。

謝罪文を掲載する際は、NGの文言や表現がないか、弁護士や第三者などにも相談した上で早急に対応しましょう。

あわせて、予想以上に炎上が拡大した場合は、プレスリリースやコーポレートサイトで謝罪文を公表するケースもあります。

投稿内容の削除

もし、不適切投稿を発見した際には、従業員に対して投稿の削除を要請しましょう。

この時に重要なことは、私的な投稿の削除を強制することは難しいという点です。よって、従業員には任意で不適切投稿の削除をお願いしましょう。

それでも解決できない場合は、サイトの運営元に対して削除請求を行うケースもあります。

なお、削除請求は業者では代行できないので、ご自身か弁護士を通じた対応が必要となります。

懲戒処分

炎上によって発生した問題が会社に大きなリスクを与え、就業規則等で定めている懲戒事由に該当する場合は、懲戒処分の検討も必要となるでしょう。

懲戒処分の主な種類

  • 懲戒解雇
  • 諭旨解雇
  • 出勤停止
  • 減給
  • 戒告
  • 訓告

参考:【弁護士監修】懲戒処分とは?種類と基準―どんなときに、どんな処分をすればいいのか―

法的措置

炎上自体が何らかのリスクを及ぼすことはもちろんですが、投稿内容や会社が受けた被害・損害の規模によっては、民事による損害賠償請求や刑事での業務妨害罪なども視野に入れる必要があるでしょう。

過去に起きた炎上事例でも、企業によっては退職処分だけでなく、法的措置を行っていることを公式で発表するケースも見られました。

SNSの不適切投稿を未然に防ぐには?

SNSの不適切投稿を未然に防ぐには?

事後対応の重要性と共に、不適切投稿を未然に防ぐための根本的な対策も企業にとって必要です。

研修の実施によって、基礎的なリテラシーの向上や社会人としてのSNSの向き合い方の再確認、SNSを使用する上でのガイドラインやルールの構築もその一部です。

他にも、従業員との誓約の取り交わし、炎上の火種となる不適切投稿の早期発見も未然防止策として挙げられます。

各対策の具体的な内容について、ぜひ実施検討の際の参考にしてください。

SNSリスク研修

これまでのSNSリスクは、あくまでコンプライアンス研修の一環として捉えられることが多かったですが、最近では企業研修における一つの項目として積極的に取り入れる企業も増えてきました。

社内でのリテラシー統一化をはかる目的や運用担当者に向けた内容など、対象者や目的などに沿って研修を行うことが大切です。

もし、社内で研修を構築する体制が整っていない場合は、外部の専門業者に委託することも一つの手です。

こちらの記事では、SNS研修の実施例や研修形式についても紹介されています。

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SNS利用ガイドラインの策定

従業員のプライベートや企業の公式アカウントにおけるSNS利用に関して、事前に就業規則やガイドラインで明確なルールを設けておきましょう。

また、従業員にその内容をしっかりと把握させておくことが重要ですので、研修の場などで効率よく周知することをおすすめします。

ガイドラインの策定方法について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしましょう。

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誓約書の締結

入社時など、事前に誓約書を提出させることで、従業員に自覚を持たせることや懲戒処分の相当性について示す一つの基準にもなります。

禁止項目の記載例として、誓約書のサンプルの一部を紹介します。

私は、SNS その他のインターネットを利用した情報発信を行うにあたって、以下の内容を投稿しません。
⑴ 営業上の秘密
⑵ 顧客、取引先に関する情報
⑶ 他の役員・従業員の個人情報及びプライバシーに関する情報
⑷ 会社の公式見解と誤解される投稿
⑸ 会社の名誉及び信用を毀損する情報
⑹ 法令違反となる情報及びこれを助長する情報
⑺ 差別的情報、他者が不快に感じる情報
⑻ その他、前各号に準ずる会社が不適切と判断する情報

引用:SNS 利用に関する誓約書

SNS投稿の監視

SNS炎上の火種となりそうな不適切投稿を早期に発見することで、炎上被害を未然に防ぐ役割を果たします。

また、自社で投稿監視を実施している旨を公表しておくことで、不適切投稿の抑止にもつながります。

まとめ|SNSリスク研修が不適切投稿防止対策の重要なカギ!

まとめ|SNSリスク研修が不適切投稿防止対策の重要なカギ!

SNSの不適切投稿を防ぐ目的は、炎上のリスクを排除し、会社の利益と従業員を守るということに尽きます。

そのために企業ができることは、まずは従業員に対する「SNSリスク研修」の実施です。SNSの教育を行うことで、ガイドラインの有用性や意義を再確認し、会社全体にしっかりと浸透させていきましょう。

SNSは正しい運用を行うことで、個人にとっても、企業にとっても便利で役立つツールになります。

これから更に発展するデジタル技術革新の将来を見据え、早めの対策をとっていきましょう。

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企業の風評対策実績10年以上のプロフェッショナルが、炎上を知り、未然に防ぐための社員研修を代行致します。

その他にもネット上の投稿、口コミの監視など、炎上予防や風評対策のための様々なご提案が可能です。

監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007年弁護士登録(60期)。2010年11月法律事務所アルシエンを開設。ネット中傷の削除、投稿者の特定、炎上対応などインターネット分野の法律問題に取り組んでいる。総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022年~)の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を務める。