逆SEO対策の費用は、どれほど必要なのでしょうか。インターネット上で誹謗中傷が書き込まれてしまうと、自分や会社の名誉が傷つき、個人の場合であれば、就職・転職や進学が難航する、企業の場合であれば、商品やサービスの売り上げがダウンしてしまうなど、社会的な影響を及ぼし始めます。
2015年に開かれた新経済サミットでは「10年後に、ネット利用者は18億人増加する」という予測が発表されました。今後も市場規模は拡大し続け、新しいインターネットサービスが増加する状況が加速していくと見られています。
参考:「10年後、ネット利用者は18億人増加する」 今後のネットビジネスの市場規模を米高官が予測
しかし、一方でネット上の誹謗中傷による事件が後を絶たないという状態も生まれています。誹謗中傷が起こった時の、問題解決に効果のある手段の1つが、逆SEO対策です。一個人の小さな発言がインターネット上で火種となり、フォロワーや第三者によって拡散されることで、企業のブランドに打撃を加え、大きな不利益をもたらす事件が発生していています。これは、インターネット上の拡散力がマイナスの方に作用している状況と言えます。
このような事態が発生した時に検討されるのが「逆SEO対策」というものです。
本記事では、逆SEO対策はインターネット上での誹謗中傷や「炎上」に対してどのように有効か、さらに実際の誹謗中傷の事例や費用・相場などを紹介します。
逆SEO対策とは?
ネット上で誹謗中傷が沸き起こってしまった時に問題になるのが、Googleなどの検索エンジンに表示されてしまうネガティブな情報です。掲示板のスレッドやSNS、ブログなどに誹謗中傷が書き込まれてしまうと、書き込まれたページはそのまま検索エンジンに認知されてしまいます。
インターネットを使って何かを調べる時、ユーザーは検索エンジンを利用し、個人名や企業名で検索をかけます。たとえそのサイトに個人や企業にとってネガティブな情報や虚偽の情報が掲載されていたとしても、「ユーザーのニーズに合っている」と検索エンジンから評価されたページが検索結果の上位に表示されるのです。
検索エンジンを利用するユーザーは、企業名や個人名の評判を知りたがっています。私達が行きたいお店の名前を検索するときは、そのお店を訪れた人たちがどのような口コミを書き込んでいるか、不特定多数の第三者が発している客観的な情報を探してしまうのと同じ原理です。
逆SEO対策を行うことで、検索結果上に上位表示されたこのようなネガティブな情報がユーザーの目に触れないように下位に押し下げることが可能なのです。
SEOと逆SEO対策の違い
企業のコーポレートサイトや個人のブログで情報発信を行う上で、多くの人にWEBサイトを認知させる目的で、Googleなどの検索エンジンの検索結果で自社サイトを上位表示させるために行う手段のひとつがSEO対策です。
SEO対策を行う上では、WEBサイトが検索エンジンに対して認知されるようにサイトの調整・改善を行ったり、自社の提供するサービスに関連するキーワードが検索された時に、自社サイトを上位表示するように、インターネットユーザーのニーズに合った良質なコンテンツを作成したりしていきます。
Googleは口コミや評判など、検索ニーズが高い情報を上位に表示する検索アルゴリズムによって、インターネットユーザーが検索キーワードを入力した時に、欲しい情報がすぐに検索結果に表示される仕組みが成り立っています。
逆SEO対策はこのようなアルゴリズムを利用して、誹謗中傷が書き込まれてしまったサイトが上位表示されている状態を改善して、検索結果をクリーンにするよう、施策を行っていきます。
検索ニーズがありながらネガティブな情報が含まれない、ポジティブな情報・中立的な情報が掲載されているサイトを作成したり、既に検索結果に表示されているサイトに対して施策を行い、上位表示をさせていったりします。
このような方法でネガティブな風評サイトが上位表示されないように対策していくのです。
逆SEO対策の施策内容・費用はどのように決まる?
逆SEO対策の施策内容は、誹謗中傷の度合いや、検索されるキーワードの難易度によって変わります。誹謗中傷に対する対策はケースバイケースで、個別に具体性が求められます。ある事例で行った逆SEO対策の手法が、別の事例で同様に有効であるとは限らないのです。
対策を行う企業名・個人名などのキーワードは月に何回検索されるかというボリュームが決まっていて、「対策用に作成するサイトが上位表示される見込みがどの程度あるか」「中傷を書き込まれてしまったサイトが、検索エンジンに対してどれほどの効力を持っているか」などの点がポイントになります。
施策用に利用するサイトが上位に表示され、相対的に誹謗中傷を含むサイトがユーザーの目に届きにくい下位(2ページ目以降)に下がっていくには、一般的に数か月の期間が必要です。風評サイトが押し下がった後でも再度上位に浮上してしまう恐れがあるため、会社や個人の名誉を守るためには長いスパンで施策を行っていくことが有効だとされています。
自分が対策したい状況がどのくらいの金額感か把握したい場合には、見積もりを依頼してみましょう。
誹謗中傷の影響と逆SEO対策の必要性
誰かが書き込んだ後ろ向きの情報が検索結果に並んでしまうと、その企業名やサービス名、個人名を調べた時に、書き込まれた中傷が検索結果の上位に表示されてしまいます。
会社が販売している商品について、悪い口コミが集中して書き込まれてしまい、検索結果に表示されてしまっていたら、消費者はどのような印象を持つでしょうか。これから買おうとしていたにもかかわらず購買意欲が無くなってしまうか、他社の商品の方が良いと判断してしまうでしょう。
個人名で誹謗中傷が上位表示されてしまったら、本人に対する周囲の評価・印象が一変してしまいます。「問題がある人だ」と捉えられ、本人の名誉は傷つき、出世や昇進のチャンスを失ってしまうこともあります。
逆SEO施策が必要になる場面とはどんなとき?
インターネット上に会社や個人の誹謗中傷が書き込まれ、対策を行わなければいけない時、まず一番に考えるのが「投稿自体の削除」でしょう。
しかし、インターネット上での発言に関しては発言者の「表現の自由」が尊重されるため、投稿内容にプライバシーの侵害や名誉権の侵害など明確な法律違反が認められない場合は削除不可となってしまいます。
さらに、インターネット上に投稿された誹謗中傷の削除申請は、被害を受けている本人、または被害者から代理を依頼された弁護士しか行う事ができません。法律に違反している投稿を削除し、さらに匿名で発言した相手を特定し、裁判などを経て損害賠償の請求を行う場合は弁護士に相談し、依頼するのが良いでしょう。
しかし、確実に法律に違反している、または各サイトの利用規約に違反していると証明できなければ、例え弁護士であっても削除は困難です。また、削除対応を進めている過程で中傷を投稿した相手に気付かれてしまい、さらなる炎上に繋がる心配もあります。そういったリスクをできるだけ回避したい場合におすすめするのが、逆SEO対策です。
それでは、実際にインターネット上に書き込まれた誹謗中傷やネガティブな発言が企業や個人にとって悪い影響を与えてしまった場合の具体例を見ていきましょう。
採用活動への影響を逆SEO対策によって防ぐ
神奈川県にあるIT企業で働くTさんは、会社の管理部門で採用活動を担当しています。入社して5年経ち、中途採用の求人中に、あることに気づきました。ここ数年で中途採用の内定辞退率が増加傾向にあるのです。
理由を調査したところ、自社の企業名をGoogleで検索した時に、退職者が書き込んだ会社に対する低い評価が上位表示されていることがわかりました。
求人に対する応募はあるのに、1次2次と、面談が続く過程で、内定を辞退してしまう人がいるのです。入社するモチベーションを持っている希望者が、会社について知りたいと企業研究を進める上で、ネガティブな書き込みが目に触れてしまう、これにより入社意欲が低下してしまっている状況がある、Tさんは誹謗中傷の書き込みが企業のブランド力を衰退させている事実に気づいたのです。
就職・転職活動を行っている新卒者や転職者は、企業がどのような商品やサービスを扱っているかという情報以上に、会社に対する口コミや評判について強い関心を持っています。口コミや評判を掲載することが出来る掲示板サイトや就職・転職支援口コミサイトは運用歴が長い傾向があり、他のサイトやSNSページなどからもリンクされていたり、検索エンジンからもよく認知されているサイトが多いのです。
中傷の内容が過度な場合には「〇〇はブラック企業」「残業代が支払われない」などのネガティブな書き込みをされてしまうケースもあり、求職者であるユーザーがこのような情報を見てしまったとしたら、例え書き込まれた内容が虚偽であった場合でも、これから入社したいという意欲はダウンしてしまいます。
企業側にとっても、誹謗中傷は採用活動を難航させてしまう状況を生み出し、採用側、求職側、双方にとって、良い結果をもたらさないのです。逆SEO対策を行うことで、会社側にとって不都合な情報が検索結果に上位表示されないように施策を行うことが可能です。
個人の名誉の低下を防ごう
Sさんは、東京都内に拠点をおく企業の代表取締役です。人柄が良く、周囲の信頼を集めていて、会社の経営も安定していました。ある日、久しぶりに会った親戚との集まりで、仲の良かった親類がSさんを警戒していることに気が付きました。
自宅に帰ったあと、その日はあまり気に留めなかったのですが、よくよく家族に話を聞くと、インターネット上でSさんについて書き込まれた誹謗中傷を発見してしまったというのです。
書き込まれた誹謗中傷は、過去に巻き込まれてしまったことのある刑事事件についてでした。Sさん自身は何も悪いことをしておらず、警察の事情聴取に答えただけでしたが、事態をいぶかしげに感じていた周囲の人が、ネガティブに受け取って、掲示板に実名をあげて、誤解を生むような書き込みを投稿してしまっていたのです。
書き込まれた当時、SさんはWEB上で自身のことをアピールすることは無かったのですが、現在は会社の事業拡大にあたって個人名を露出してPRする機会が増え始めていました。その中で、当時の書き込みが徐々に検索結果に上位表示されるようになってしまっていたという状況で、Sさんは悪事を働いていないにも関わらず、自身の名誉を低下させられ、心理的な打撃を受けてしまいました。
個人名で逆SEO対策を実施することは、誹謗中傷の情報を目立たなくすることに留まらず、当事者の信頼回復・名誉回復にかなりの効果が見込めます。
逆SEO対策に必要な費用
上で触れた通り、逆SEO対策の施策費用は、誹謗中傷の度合いや、対策したいキーワードでサイトを上位表示させるための施策難易度によって変わります。
対策キーワード | 費用の目安(月) | 施策期間の目安 |
企業名・団体名・店舗名などの場合 | 10万~20万円程(状況によっては数十万円) | 数か月(難易度が高い場合は1年以上) |
個人名 | 数万円(5万~10万、数十万の場合もあり) | 数か月程度 |
費用の目安として月額で10万円~、個人名で対策する場合には、数万円で施策できる場合もあります。対策の難易度が高い内容であれば、数十万の金額が必要な場合もあります。
見込みの予算と、実際に必要な費用に乖離がある場合には検討が必要ですが、長期的に対策していくことが会社や個人のブランドを保守することにもなります。
会社名で逆SEO対策する場合の費用・相場は?
施策の費用は、会社名であるか、サービス名か、個人名か、キーワードの種類によって差が出ます。会社名で誹謗中傷が検索結果に上位表示されないように施策する場合は、相場は10万~20万円程、見ておく必要があります。作成するサイトが上位表示されて、風評サイトが検索結果から目立たなくなる期間は、半年程度が1つの目安です。
規模の大きい会社やネームバリューの高い会社名・サービス名の場合には、月に検索されるボリュームや検索結果に表示されるサイト数が多かったり、上位表示される風評サイトも強力なページであったりする傾向があり、施策難易度も高まります。状況によっては数十万の施策費用が掛かるケースもあります。
会社として行う逆SEO対策では、会社として保有しているWEBサイトやSNSページなどを施策に利用出来る場合もありますので、詳細な金額が知りたい場合には所持している会社のWEBサイトやSNSページも踏まえて見積もりを依頼しましょう。
個人名で逆SEO対策を実施する時の費用例
個人名での逆SEO対策は、企業名での施策よりも金額が安く済むことが多く、月額5万円前後など、数万円の範囲で安価に対応できることもあります。
有名な活動を行っているわけではなく、自分の名前に関する、不都合でネガティブな情報を含んだページを押し下げる、というケースであれば費用を抑えられる可能性が高いです。
逆に、芸能人名や大企業の代表取締役の名前など、一般のユーザーにとっても知名度が高く、たくさんのユーザーに検索される名前の場合には、施策の難易度が高くなります。そのため、風評を含んだページが下位に押し下がっていくまで長い期間を要する場合があります。
逆SEO対策を検討する場合に注意すること
逆SEO施策は、主にインターネットの誹謗中傷対策を行う業者が行っています。対策の方法はそれぞれの業者によって異なるため、依頼をする前にどのような費用感でどういった施策方法を行うかしっかりとヒアリングするのが良いでしょう。
ごく稀に、ネガティブな書き込みが行われたサイトに対して、検索エンジンからペナルティを与えられるように仕向けるといった施策を行う業者もありますが、そういった行為は大変危険ですので、例え安価な費用で対策が出来る場合でもそういった施策を行う業者は避けましょう。
もちろん、施策を行うに当たって費用面の問題は重要ですが、先の説明でも記載したような「会社の所持している既存サイトの調整・改善を行い、上位化を目指す」「ユーザーのニーズに合ったサテライトサイトやSNS、ブログを作成する」など、自社コンテンツをしっかりと充実させる事によりユーザーにとって有益な情報を発信しながら逆SEOを行っていく、といった施策を行う業者を選ぶようにするという事を逆SEO対策を行う業者を選ぶ指標のひとつとしても良いかもしれません。
まとめ|逆SEO対策の費用・相場を、検討材料の目安に
逆SEO対策の費用や施策期間は、施策を行うキーワードや中傷の被害がどの程度かによって、変わってきます。そして、施策が順調に進んでいくかどうかは、Googleの検索アルゴリズムや検索を行うインターネットユーザーのニーズによって大きく左右されます。
具体的な費用感としては、企業名で10~20万円、個人名で数万円という相場が1つの目安になります。施策を実施し始めると、短期間で風評サイトが押し下がる事例もありますので、誹謗中傷がもたらす影響を改善したい場合には、導入を検討してみましょう。
ネットの誹謗中傷、風評対策のプロがお悩みを伺います。
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清水 陽平