匿名で書き込みのできるネット掲示板やSNSでは、些細なきっかけから誹謗中傷が書かれ炎上してしまう事もしばしばあります。しかし、しっかりと問題別の対策方法を考えておけば被害は小さく抑える事が可能です。
本記事では、誹謗中傷対策の必要性や起こりやすい場所を押さえた上で、インターネット上で引き起こされる誹謗中傷の対策方法を、被害を「受ける前」「受けた後」それぞれの段階における問題別に紹介します。
なぜ誹謗中傷対策が必要なの?
インターネットで誹謗中傷対策を受けると、書かれた内容はインターネット環境のある場所ならどこからでも閲覧可能となってしまいます。もし誹謗中傷を投稿されてしまった場合、以下のような悪い影響があると考えられます。
- 企業や個人のブランド力が低下し、信用を失う
- スクリーンショットで拡散され大きく炎上してしまう
- 放置すると誹謗中傷サイトの上位化やサジェスト汚染に繋がる
これら3点の問題をもう少し詳しく見ながら、誹謗中傷が投稿されてしまった際にどうして対策が必要なのか考えていきましょう。
企業や個人のブランド力が低下し、信用を失う
誹謗中傷された内容がたくさんの人の目に留まるような事があった場合、それが真実ではなかったとしても見た人にとってはネガティブなイメージが残ってしまいます。
商品の中傷なら購買意欲を失ってしまいますし、企業への風評なら採用辞退にも繋がります。誹謗中傷の対策をする事は、そういったブランドのイメージを護る事にも繋がります。
スクリーンショットで拡散され大きく炎上してしまう
会員制の掲示板など、一定のユーザーしか見ないから・・・と油断していると、その掲示板に載った内容がスクリーンショットに残され、Twitterなどの拡散力の高いSNSに投稿、そして炎上するといった2次被害が起こり得ます。
いったん拡散されてしまうと、想像できないくらい大きな範囲に影響が出てしまうため、インターネット上の誹謗中傷は早急に対策する必要があるのです。
放置すると誹謗中傷サイトの上位化やサジェスト汚染に繋がる事も
最初はひとつの掲示板に書かれた投稿でも、その掲示板へのアクセス数が多くなってしまい上位化、さらにアクセスや検索が増えるとサジェストや関連検索ワードにも風評ワードが表示されてしまう事があります。
対策しない期間が長ければ長いほど被害が拡大するだけではなく、対策すべき箇所が多くなり、時間もお金もかかる事になります。
ネット上で誹謗中傷が起こりやすい理由
インターネットで誹謗中傷が起こりやすい大きな理由は2つあります。
ひとつめは、誰でも気軽に情報を発信出来るということ。総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」の調査結果では、「13歳~59歳の年齢層でインターネット利用が9割を超えている。」としており、パソコンやスマートフォンなどのインターネット接続可能機器を所持している人の殆どがネットを利用していると言っても良い状況となっています。
それに伴い、SNSやブログなど個人の情報発信の場も増え「インターネットで自分の思った事を投稿する」ためのハードルはとても低いと言えます。
ふたつめは、インターネット上での「匿名性の高さ」が関係しています。基本的に、ネットでは自分の個人情報は公開されません。SNSや掲示板の利用に関しても自分で決めたハンドルネームを使う場合が多く、基本的には本人が名乗らなければ誰が発言したのかバレる事もありません。
バレるはずがない、という安心感から誰かが誹謗中傷を書き込んだのを見て同調行動を起こす人も少なくはありません。
匿名性を悪用して不特定多数の人が見るSNSや掲示板、口コミサイトに風評や誹謗中傷を書き込み、相手を貶めてしまう人が増えてしまったのです。
また、Twitter などのSNSは拡散力が高く、個人または企業側に不祥事があった際の告発の場としても利用されます。直接本人や企業にクレームを入れても解決しなかった場合や気が治まらなかった場合、他のネットユーザーに事実(または虚偽・誇張)を拡散して味方を作る事で相手へのダメージを増加させるようにする傾向も近年では高まっています。
参考:総務省公式ホームページ 平成30年通信利用動向調査の結果(PDF)
ネットで誹謗中傷が起こる3つの場所
それでは、インターネット上で誹謗中傷が起こりやすい場所を確認してみましょう。大きく分けて3つに分けられます。
2chや5chなどの匿名ネット掲示板
有名な2chや5chをはじめ、「爆サイ」「したらば掲示板」「好き嫌い.com」など多くの人が集まる匿名掲示板は、誹謗中傷や風評と判断できる書き込みが多数投稿されていることも少なくありません。スレッドを立てる目的が誹謗中傷を募るためであったり、タイトルで風評を招こうとしたりすることもあります。
また、これらの掲示板にはインターネットでの情報収集の得意な人が多く集まっている傾向もあり、個人が標的であった場合は炎上から数十分以内に個人情報の特定を完了し、掲示板で晒すような人もいます。
一般人のメールアドレスや勤務先が公開されてしまった過去の事例では、全く知らない人から嫌がらせメールが届いたり勤務先にクレーム電話や無言電話が鳴り続けたりするなどの被害に繋がりました。
口コミ投稿サイトや通販サイトのレビュー
誹謗中傷が行われる情報発信の場として、口コミサイトや通販サイトなども挙げられます。「転職会議」た「キャリコネ」などの転職支援口コミサイトでは、口コミ投稿を行うのは不満を持ったまま会社を辞めた元社員である場合も多く、上司や役員を名指しで批判したり事実無根の内容を投稿したりする事で評価を落とそうとする書き込みが見受けられます。
他にも、企業が提供するサービスに対しての客の不満が「ホットペッパー」や「食べログ」などの口コミに載る事もあります。また、インターネット通販でも口コミが投稿できる事が多いため商品に対しての誹謗中傷が書き込まれてしまう事例もあります。
近年では、「ネットの電話帳(住所でポン!)」や「JPナンバー(日本電話番号検索)」といった電話帳サイトに勝手に個人情報が掲載されたり、風評の口コミが投稿されてしまったりして困っている方も増えています。
SNSやブログ
近年で一番誹謗中傷による炎上事例が目立つのは、TwitterやInstagram、facebookなどのSNSです。Instagramやfacebookの24時間で消えることを特徴とするストーリーズと呼ばれる機能を使って軽率な投稿が行われ、第三者がそれを問題だとしてTwitterで拡散するといった事例です。
SNSでは返信投稿や拡散も簡単であるため、いったん誰かが誹謗中傷を始めると多くの人が便乗できる雰囲気を作りやすい場と言えます。
インターネットが普及するまでは殆ど接点がなかった企業や芸能人などの有名人と「近い」(と錯覚できる)距離感で一般のユーザーでも投稿を見る事が出来るので、SNSは企業や有名人が広報目的で利用することが増えています。
その反面、それらの人々や企業に少しでも落ち度や事件との関連性があった際に、一般のユーザーから公式アカウントに多くの誹謗中傷が寄せられるケースが多発しました。
ケース1
あるお笑いタレントが、1989年に起こった凶悪殺人事件の犯人だとインターネット掲示板の2chで中傷されるようになった。1999年頃が中傷のピークと言われているが、長年に渡っていわれのない誹謗中傷を受け続け、警察に相談。当時はインターネットの犯罪に精通する人が少なく解決に向けて機関が動くまで相当の時間を有した。
2008年以降にようやく犯人特定への動きが大きくなり、それまでに悪質な誹謗中傷を書き込んだ日本全国1200人以上の犯人を特定するに至った。ピーク時より誹謗中傷は減ったとはいえ、約20年経った現在でも中傷は続いている。
参考:ダイヤモンドオンライン 「誰もが中傷の加害者になりうるSNSの怖さ」(上)(https://diamond.jp/articles/-/204744)(下)(https://diamond.jp/articles/-/204798)
ケース2
元アイドルとモデルの夫妻が匿名掲示板の「ママスタジアム(ママスタBBS)」を中心に3年も誹謗中傷に晒されてきた事件では、2019年の10月に公式ブログで誹謗中傷書き込みをしていた人たちの情報開示請求が認められた旨が自身の公式ブログで発表された。同ブログでは情報開示請求を弁護士に依頼してから5ヶ月程かかった点などにも触れながら、今後は「民事、刑事で訴えていく」と発表している。
まだ解決には至っていないが芸能人への匿名掲示板での誹謗中傷も脅迫罪などが認められる場合があると広く知れ渡るきっかけとなっている。
参考:弁護士ドットコムニュース(https://www.bengo4.com/c_23/n_10235/)、公式ブログ
ネットでの誹謗中傷を削除する事はできるのか
ネットでの誹謗中傷を削除したい場合は、まずそのサイトの利用規約や投稿ルールを良く読むようにしましょう。ルールに違反している書き込みは、ルール違反を理由に削除申請ができます。
サイトによってルールは違うため一概には言えませんが、傾向としては誹謗中傷の内容が法律に違反している場合や、非公開の個人情報が書き込まれている場合は削除される可能性が高くなります。
素早く誹謗中傷対策を行うため「監視」の需要が増加
インターネット上での誹謗中傷は、気を付けていてもいつどこで起こるか予期する事はできません。しかし、あらかじめ対策を練っておくことによって被害を最小限に抑える事はできます。
「まだ誹謗中傷はないけれど、もしもの時があったら不安だ」という問題の解決策として、万が一の際に素早く問題解決できる誹謗中傷対策の手段としてオススメするのが「監視」です。
とくに、企業であれば情報のやりとりが頻繁に行われているSNSや掲示板、検索エンジンのサジェストや関連検索ワードに誹謗中傷にあたる言葉が投稿・表示されていないか定期的に確認するのがおすすめです。
監視自体は社内で行う事も可能ですが、効率アップのために監視ツールを導入する事を検討してみても良いでしょう。また、監視のために社内の人員を割けない場合などは誹謗中傷対策を行っている業者が提供している「有人監視サービス」を検討しましょう。
弊社でも有人監視サービスのお取り扱いがありますので、ご検討中の方はぜひ参考にしてみて下さい。
早期発見が大切!毎日の監視で情報の把握をしよう
誹謗中傷の対策として、大きな被害にならないために上記で紹介したような誹謗中傷が起こりやすい場所を監視しておくという方法があります。
監視をする大きなメリットは、書かれてしまった誹謗中傷をすぐに発見し、対策できる事。初期の対応を適切に行う事で被害を最小限に抑える事が出来る点にあります。
あらかじめ炎上してしまった場合の対応方法を考えておく
企業の場合なら早期発見の後に適切な対応を取るため、あらかじめ誹謗中傷・炎上対策マニュアルを作り全社員で共有しておく事もオススメです。社内の全員で共通の認識を持っておく事で、緊急時の伝達ミスや対応の不備から起こる2次被害を防ぐことに繋がります。
また、誹謗中傷・炎上対策マニュアルの内容を社員がしっかりと理解しているのか、マニュアルの内容や対処手順そのものに抜けや漏れがないかどうかを確認するために、インターネット上の炎上を想定した炎上訓練などを行うのも良いでしょう。
こうした訓練は自社内で行う事もできますが、日頃からインターネットの炎上対策を専門にしている業者を招き、過去の炎上案件をベースにしたオリエンテーション式の訓練を開催するというのも注目され始めています。
誹謗中傷を受けた時に対策できる相談先
インターネットで誹謗中傷を受けた時はどこに相談をすれば良いのでしょうか?既に被害を受けてしまっている場合の誹謗中傷対策を行うにあたって、どのような機関に相談すれば良いのか抑えておく必要があります。
まず思いつくのは「警察」や「弁護士」でしょうか。そして、弊社のような「誹謗中傷対策業者」への相談も有効と言えます。これらの機関に相談したい時に、どういった基準で選ぶと良いのかを含め、
- 事件性があり素早い動きが必要な場合
- 書き込みが法律に違反しているので削除したい場合
- 書き込みが法律に違反していなかった場合
に分け、それぞれの問題別に3つの相談先を詳しく紹介していきます。
事件性のある場合は警察に相談
インターネットで受けた誹謗中傷の内容に住所などの公にしていない個人情報が流されてしまった時や、それをきっかけに自宅周辺で待ち伏せされた(ストーカー被害)、掲示板に明らかに自分に対して「殺す」「殴る」等の脅迫と取れる投稿をされたなど深刻な被害に繋がった場合はすぐに警察へ通報しましょう。
また、「名誉毀損」や「信用毀損」などに当てはまり被害届を出したい場合や刑事告訴を行いたい場合も、警察に通報します。
しかし、「名誉毀損」や「信用毀損」などを刑事事件として扱ってもらう際には、インターネット上に誹謗中傷が投稿された日付などをしっかり確認し、出来るだけ早く行動することが必要です。
【「名誉毀損罪」と「信用毀損罪」について】
名誉毀損罪の場合は「親告罪」のため、名誉毀損された事実や毀損を行った人物を特定してから半年以内に告訴しないと起訴することが出来なくなります。さらに、名誉毀損罪の公訴時効は3年なので、インターネットに誹謗中傷が書き込まれた日から3年以内に起訴する必要があります。
信用毀損罪は「親告罪」ではないため、被害者からの告訴がない場合でも刑事事件として立件される可能性はあります。しかし、現状被害者からの告訴か被害届がない場合は警察が自ら立件する可能性は低いと思われます。
もしも自分が信用毀損罪に当てはまる被害を受け、それを刑事事件化して欲しいと考えている場合は早々に警察に事件相談をしましょう。
法的に削除したいなら弁護士に相談
インターネット上に書き込まれた誹謗中傷が法律に違反している場合は、弁護士を通して削除依頼を出すことで削除成功の可能性が高まります。基本的にどのサイトでも削除申請は被害者本人のみ可能とされていますが、弁護士は被害者の代理人として各サイトに削除申請を出すことが可能です。
もしも、「誹謗中傷の削除申請をしたいけど、各サイトに自分で申請する時間がない」「それぞれのサイトの規約に合った申請方法や削除に関する法律の知識に自信がない」と思っている場合は、削除申請の手続き自体を弁護士にお願いしてしまう事を検討しましょう。
また、自分で削除の申請を出したい場合でも、あらかじめ弁護士に相談して法律に違反しているのか判断して貰うと削除理由を明確にできるので安心です。
さらに、弁護士の活躍は削除に関してだけではありません。誹謗中傷によって受けた被害を刑事事件として警察に告訴したい場合や、それに伴う書類の作成なども弁護士に相談すれば的確なアドバイスをもらう事ができます。
弁護士に依頼する場合は、インターネットトラブルの対策実績のある方を選びましょう。
削除が難しい場合は誹謗中傷対策業者に相談
インターネットに書き込まれた誹謗中傷が法律に違反しているとは言えず法的な観点での削除が難しかった場合は、誹謗中傷対策を行っている業者に相談してみましょう。
誹謗中傷が書かれたページの削除が難しくても、逆SEOなどの手法を使って問題のサイトを表示されにくくなるような対策をしてくれます。
時間がかかってしまう場合もあるというデメリットはありますが、金額面で言えばすぐに大きな予算の都合がつかない方にも対策ができるという点で、メリットも大きいと言えます。
また、ブログや掲示板、SNSなどに誹謗中傷を投稿されていないか監視したい場合もこういった業者に相談してみると良いでしょう。有人監視サービスや監視支援ツールなどを提供している業者もあります。
他にも、炎上対策のマニュアル策定や企業向けの対策セミナーの開催等初期対応のためのサービスなどの提案ができる業者もありますので、上手に使い分けトラブルを避けましょう。
まとめ|ネット誹謗中傷対策に監視の需要が増加!早期発見で被害を最小限に!
基本的に匿名性の高いインターネットでは、気を付けていたとしても誹謗中傷が起こりやすいと言えます。誹謗中傷がきっかけで大きな被害を受けないための対策としては、監視を行ったり炎上対策マニュアルを作成したりする事が有効です。
有人監視サービスや監視支援ツールなどを提供している業者もありますので、値段やサービスと照らし合わせて状況に合ったものを導入しておくと安心です。
もしも誹謗中傷を受けてしまった場合は、被害の状況に合わせて警察や弁護士に相談しましょう。法的な対策が難しい場合は逆SEOのサービスを提供している誹謗中傷対策業者に依頼してみるのも良いでしょう。
ネットの誹謗中傷、風評対策のプロがお悩みを伺います。
風評サイトやサジェストのお悩みのほか、SNSや口コミサイトの監視など、幅広くご対応可能です。
清水 陽平