誹謗中傷・風評対策

風評被害とは?原因と具体的な対策方法を徹底解説

風評被害とは?原因と具体的な対策方法を徹底解説

風評被害とは、間違った情報や意図的なデマ、根拠の不確かな噂が広がることで、企業や個人の評判や信頼が損なわれ、経済的損失をもたらす現象です。

特に、SNSやインターネットの普及により、情報が瞬時に広まり、誤った情報や噂があたかも事実であるかのように広がるケースが増えています。

風評被害は単なる誤解では済まされず、大きな社会的・経済的影響を及ぼす可能性があり、企業や個人にとって深刻なリスクになります。

本記事では、風評被害の原因とリスクを明らかにし、企業が実践すべき具体的な対策を解説します。

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風評被害の原因とリスク

風評被害の原因とリスク

風評被害を引き起こす原因と、それによって企業や個人が直面するリスクについて解説します。

これらを正しく理解することで、対策を立てやすくなります。

風評被害が生まれる原因とは

風評被害の発生には以下のような要因があります。

SNSの匿名性と情報の拡散性

SNSは誰もが簡単に情報を発信できる一方、匿名性が高く、発信者の責任が曖昧になりがちです。

この特性により、虚偽の情報や誤解が短時間で広範囲に拡散され、大規模な影響をもたらすことがあります。

情報の信頼性に対する検証不足

現代では、速報性が重視されるあまり、情報の正確性が軽視されがちです。

ニュースやSNSでの情報が十分に調査されないまま拡散されることで、誤解やデマの温床となるケースがあります。

加工された写真や動画による誤情報の拡散もその一因です。

情報の正確性を担保するため、ファクトチェックを徹底することが重要です。

これにより、誤った情報の拡散を未然に防ぐことができます。

風評被害が及ぼすリスクとその大きさ

風評被害が企業や個人に与える影響は多岐にわたります。

企業や個人に与える影響

ブランド価値の損失
企業のブランド価値が低下することは、風評被害による大きなリスクの一つです。

一度損なわれた信頼や評価を取り戻すには、多くの時間と労力が必要になります。

経済的損失
不買運動や契約解除といった直接的な損失に加え、顧客の離反や株価の下落が発生することもあります。

これにより、企業全体の収益が大きく減少し、最終的には事業運営に深刻な影響を与える可能性があります。

法的問題の発展
根拠のない噂や誤解が広まることで、取引先や顧客との間に法的トラブルが発生することがあります。

場合によっては、企業は法的措置を取る必要が生じ、そのために追加的なコストやリソースが必要になります。

風評被害と炎上の違いと風評被害に発展する流れ

風評被害と炎上の違いと風評被害に発展する流れ

ここでは、風評被害と炎上の違い、そして炎上がどのように風評被害に発展するかを解説します。

風評被害と炎上の違い

風評被害
風評被害は、真実に基づかない誤解や虚偽の情報が原因で、企業や個人の評判や信頼が損なわれる現象です。

主に、根拠のない噂や悪意のある情報が広がることに起因し、企業や個人が対応に追われることになります。

炎上
炎上は、特定の行動や発言、製品・サービスに対する批判が急速に拡大し、SNSや掲示板などで激しい反発を引き起こす現象です。

炎上は真実に基づく批判が中心となる場合が多く、その対応次第で事態が悪化するリスクがあります。

不適切な対応や情報提供の遅れは、炎上を長期化させ、最終的に風評被害へと発展する可能性があります。

炎上から風評被害への流れ

炎上が適切に対応されない場合、風評被害に発展することがあります。この流れを段階的に解説します。

炎上の発生

炎上は、企業や個人の行動や発言、製品・サービスに関連する問題がSNSやメディアで急速に広まり、強い批判を受けることで始まります。

この段階では、誤解や感情的な反応が加わり、社会的な反発が強まる傾向にあります。

誤情報や噂が広まる

炎上が続くと、批判の中に誤解や虚偽の情報が混じり始めます。

SNSや掲示板で事実無根の噂やデマが広まり、誤った情報がさらに拡大します。

企業や個人が訂正しようとしても、既に広がった誤情報を修正することは困難になり、その情報が定着する可能性があります。

風評被害の発生

情報が広まることで、誤った情報や虚偽の内容に基づく風評被害が発生する可能性があります。

企業や個人に対する不当な評価や批判が、誤解やデマによって広がり、長期的に信頼や評判が損なわれることになります。

また、誤解や噂が広がり続けることで、企業や個人のブランドや社会的信用が大きく影響を受けます。

炎上時に適切な対応を取らなかったり、事態の収束が遅れたりすると、風評被害が深刻化する可能性があります。

炎上で注目された問題が風評被害へとつながり、その後の対応が長期的な影響を及ぼすことになるため、企業や個人は早期に誤情報を訂正し、信頼回復に努めることが重要です。

企業が取るべき風評被害対策方法

企業が取るべき風評被害対策方法

風評被害を防ぎ、発生時に迅速に対応するための具体的な対策方法について解説します。

ソーシャルメディアポリシーの策定と実践

ソーシャルメディアポリシーは、風評被害を未然に防ぐための重要な対策です。

企業が従業員に対して明確なガイドラインを提供することで、SNSを利用する際の不適切な発信を防ぎ、予期せぬトラブルを避けることができます。

具体的な取り組み例

投稿内容の事前確認
従業員が企業の公式SNSアカウントで情報を発信する際には、必ず担当者が内容を事前に確認する体制を整備します。これにより、誤った情報や不適切な発信を防ぎます。

投稿管理の体制強化
緊急時の情報発信については、あらかじめ対応プロセスを明確にし、迅速に対応できる体制を整えます。これにより、風評被害の拡大を防ぐための初動対応がスムーズに行えます。

従業員研修の実施
ポリシーを徹底させるため、定期的に全従業員を対象としたSNS利用研修を実施します。ポリシーの理解を深め、社内全体で一貫した行動が取れるようにします。

これらの対策を通じて、企業はSNS運営の一貫性を保ちながら、万が一の問題発生時に被害を最小限に抑えることができます。

ネット監視とモニタリング体制の整備

風評被害を早期に察知するためには、ネット上の情報を継続的に監視する仕組みが必要です。

ネット監視のポイント

モニタリング範囲の設定 SNS、掲示板、レビューサイトなど、風評被害の発生源となりやすいプラットフォームを中心に監視を行う。

リアルタイム監視 定期的なモニタリングに加え、リアルタイムで情報を追跡する仕組みを導入することで、初動対応を迅速に行えるようにする。

対応体制の構築

ネット監視の成果を活用するには、問題発生時の対応プロセスを明確化する必要があります。

専任チームを設置し、問題発見から初動対応、外部への発信までの流れを定めることで、風評被害の拡大を防ぎます。

法的措置の検討と対応方法

法的措置の検討と対応方法

SNSの炎上が深刻な状況に発展し、誹謗中傷や虚偽情報が拡散された場合、法的措置を取ることが現実的な選択肢です。

適用される主な法律と、その具体的な対応方法を見ていきましょう。

名誉毀損罪と信用毀損罪について

名誉毀損罪(刑法第230条1項)
名誉毀損罪は真実であるかにかかわらず、公然と事実を摘示し、他人の名誉を毀損する行為が該当します。

たとえ真実であっても、その内容が他人の名誉を傷つける場合、名誉毀損罪が成立することがあります。

信用毀損罪(刑法第233条前段)
信用毀損罪は虚偽の情報に基づき、企業や個人の経済的信用や商品に対する信頼性を傷つける行為が該当します。

SNS上でのデマや事実無根の情報拡散により他人の信用を毀損した場合、信用毀損罪に該当する可能性があります。

これらは、誤った情報がもたらす深刻な被害を防ぐために設けられており、企業や個人が自らの権利を守るために用いることができます。

具体的な対策

➀証拠の保存
パソコンで投稿内容をPDF印刷します。フッターにURLが表示されるよう設定し、個別投稿を表示した上で保存します。

➁発信者情報開示請求の実施

手続き方法
裁判所を通じてSNS運営会社に発信者情報開示請求を行い、名誉毀損に該当する投稿をした投稿者を特定します。

注意点
手続きには証拠資料の提出や開示請求の申立書が必要です。
弁護士に依頼することで、法的手続きがスムーズになる可能性があります。

➂法的措置の検討
名誉毀損罪や信用毀損罪が成立すると考えられる場合、刑事告訴や損害賠償請求を視野に入れて、適切な法的手続きを進めます。

必要に応じて、弁護士に相談し、訴訟手続きを進める準備を行います。

まとめ|風評被害を防ぐには事前対策が必要

風評被害を防ぐには事前対策が必要

風評被害は、企業の信頼やブランド価値を揺るがす重大なリスクです。

その影響を抑えるためには、日常的なモニタリングやソーシャルメディアポリシーの整備、
そして法的措置の適切な活用など、計画的な対策が欠かせません。

さらに、風評被害が発生した際には、迅速かつ誠実な対応が被害拡大の防止と早期解決の鍵になります。

風評被害対策は、企業の持続可能な成長を支える重要な取り組みであり、リスク管理の中核として捉えるべきです。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007年弁護士登録(60期)。2010年11月法律事務所アルシエンを開設。ネット中傷の削除、投稿者の特定、炎上対応などインターネット分野の法律問題に取り組んでいる。総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022年~)の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を務める。