企業が自社やサービスについてアピールするために欠かせないツールとなったインターネット。しかし、もし企業の公式アカウントはもちろん従業員の個人アカウントが炎上してしまったら・・・と不安に思う方も多いでしょう。
風評監視は、インターネットのあらゆるサイトから炎上の火種となる投稿を検知するための重要な手段です。
本記事では、風評監視を行う事のメリットをはじめ、誹謗中傷対策会社が提供している風評監視サービスについて詳しく説明します。
風評監視って?
スマートフォンの利用者が拡大し、誰でも時間を選ばず気軽にインターネットを利用できるようになった現代。NTTドコモのモバイル社会研究所で行った「ケータイ社会白書2019年版(PDF)」によると、小学生でも約4割、中学生になると約6割が自分専用のスマートフォンを所持しており、シニア世代も60代の約7割、70代の約4割がスマートフォンを所持しているという調査結果が出ています。
また、従来使われているパソコンやタブレット端末だけではなく、インターネットへの接続が可能なテレビである「スマートテレビ(Smart TV)」などの発売により、多くの人がインターネットに関わる可能性は益々広がっています。
そういった事実に伴い、誰でも気軽に匿名で発言できる機会や場所も増えています。
SNSや口コミサイト、掲示板などの利用者数が若い世代を中心に年々増加傾向にあるのも、このインターネットへの利用の手軽さが理由のひとつと考えても良いでしょう。
さて、個人が自分の意見を発信しやすくなった事によって、今までメディアから得ていた様々な情報を、SNSなどを通して個人間でやりとりする事が容易になりました。
その弊害の一端に、インターネットを通した「個人による企業の機密情報の漏えい問題」や「客から企業に対するクレームの炎上問題」などがあるのはニュースなどで知っている方も多いでしょう。これらは、企業から見れば信用の失墜に繋がる大問題です。
こういった問題を解決するための方法のひとつとして、風評監視の需要が増えてきています。風評監視とは、その名の通り主要SNSやインターネット掲示板、口コミサイトに書き込まれた内容を監視する事によって、企業や商品(または個人)に関する風評が書き込まれていないかだけではなく、信用毀損に繋がる書き込み(企業の機密情報・プライバシーを侵害する個人情報など)までチェックする行為です。
風評監視を行う3つのメリット
誰でも手軽に利用する事のできるインターネット上では、個々の意見を自由に主張する事ができます。SNSや掲示板などで行われるそれぞれの発言には、法律に違反しない範囲での「表現の自由」が認められています。
プライバシーの侵害や名誉毀損など、法律に違反する内容を投稿して炎上した事例は多くありますが、企業に対する不平や不満など発言自体が法律には違反していない場合でも炎上に繋がってしまう事があります。
風評監視は、それら全てを含めたトラブルの元の早期発見に役立ちます。企業が自社や商品、(役員などの)個人名の風評監視を行うメリットを紹介します。
情報漏えいや内部告発といったリスクのある投稿を検知できる
2016年1月に、とある大手不動産業者の店舗に芸能人夫妻が来店したという旨を投稿した女性社員のTwitterが大炎上した事件がありました。
実際にその夫妻の接客を担当した女性は、興奮のあまり「ひとりごと」や「身内(仲の良いフォロワー)向け」のつもりで投稿した可能性もありますが、公開アカウントに投稿された彼女の発言は瞬く間に拡散され、当時のニュースでも大きく取り上げられる程の騒動となってしまいました。
(産経ニュース https://www.sankei.com/entertainments/news/160128/ent1601280002-n1.html)
その他にも、アルバイト店員がX(旧:Twitter)やInstagramに店内で撮影した不適切動画を投稿する、所謂「バカッター」「バカスタグラム」などの行為による炎上も後を絶ちません。
こういった不祥事が起こった場合、早期の事実確認と状況把握、的確な謝罪文の掲載をする事で被害を最小限に抑える事が大切です。風評監視を行う事で、社内の人間の不適切投稿を早く発見し、大きく広まる前であれば削除させたり、拡散されてしまった場合は早い段階での対策を取ったりできるというメリットがあります。
お客様など外部からのクレームやトラブルの早期発見・回避
もちろん、インターネットでの炎上の原因は内部の人間の発言によるものだけではありません。SNSを利用する人が増えた事によって、企業もまたSNSを使った販促を行う場面が増えました。
X(旧:Twitter)やInstagramで企業公式アカウントが日々の業務の様子や新製品の情報、メディア情報を呟く事も珍しくありません。企業公式アカウントを運用している従業員が、自身のアカウントと間違えて私的な文章を投稿(誤爆)してしまい、その内容がクレームに繋がる事も多々あります。
また近年では、企業としてのPR内容が「女性性を決めつける内容」であったり、「女性を揶揄していると感じられる内容」であったりする場合の炎上案件が多く見られます。
X(旧:Twitter)では企業アカウントの投稿に関して、客が個人アカウントを使ってリプライで意見を言う事は簡単です。まるで友人に話しかけるかのように気軽なリプライを送る人もいるほどです。
従来は電話やメールなど、クローズドな方法でクレームを伝えるのが主流でしたが、SNSの普及によって、クレームを伝える手段もオープンなものになりつつあります。つまり、企業に対してある客が持っている不満が、全く関係のない別の客にも簡単に共有・拡散されてしまう、という事です。
監視を行っていれば、こういった企業に対するクレーム投稿や、それに対する人々の反応をすぐに検知する事ができます。批判的な意見が多い場合でも、早期に発見し、すぐにその原因を特定し、謝罪やサポートを行えば炎上による被害は小さく収まる確率も上がります。自社に対する他のユーザーの反応には常に気を配るようにしましょう。
自社(商品)の改善に役立てる
監視はトラブル時に効果を発揮するだけではありません。普段でも、一般ユーザーの意見を目にできる機会は多くあります。クレームを言う程ではなくても、「〇〇(商品名)を使ってみたけど、もっとこうだったら良かった」「〇〇店の接客が良くなかった」などの投稿を見逃さないようにすれば、自社製品やサービスの改善に繋げる事も出来ます。
こういった自社に対する間接的な意見を監視し改善に繋げる行為は「ビジネスエゴサーチ」「ソーシャルリスニング」などにも繋がり、リアルタイムかつ率直な意見としてインターネットマーケティングにおいては重要な情報源とも言えます。また、X(旧:Twitter)を使ったアクティブサポートを行う企業も増えています。
アクティブサポートとは?
従来のカスタマーサポートのように「利用者からの問い合わせへの対応」ではなく、利用者の不満を企業側が拾い上げてサポートをし、問題を解決するという取り組み。リアルタイムでチャットのような投稿ができるX(旧:Twitter)を利用したアクティブサポートが注目されている。
サポートの対応方法によっては、ネガティブなイメージを持ったまま問い合わせをせず企業や商品から離反していく客をつなぎ留める事に繋がる。また、自社製品に関するポジティブな内容に対しても公式アカウントが共感する事によって更に顧客の愛着心を高める効果も狙える。
具体的にどんな場所の風評を監視すれば良いか
では、具体的に風評監視をすべき場所を見ていきましょう。風評の監視対象となる場所は、「X(旧:Twitter)・ブログなどのSNS」「インターネット掲示板」「口コミ投稿サイト」と大きく分けて3種類になります。
X(旧:Twitter)・ブログなどのSNS
監視対象例
- X(旧:Twitter)
- YouTube
- amebaブログ
など
風評監視にあたり、まず一番に重要度が高いのはX(旧:Twitter)やInstagramなどのSNS。特にX(旧:Twitter)はユーザー数の多さやリアルタイムに更新されていく性質から拡散性が高く、万が一不適切な投稿があった場合でも早期発見・対応できるように準備しておきたいという方が多くいます。
インターネット掲示板
監視対象例
- 2ちゃんねる
- 5ちゃんねる
- したらば掲示板
- ホスラブ
- sogno
など
インターネット掲示板はSNSなどに比べて拡散のスピードが早くなくリスクは低いと言えますが、その性質から風評や誹謗中傷、名誉毀損にあたる投稿をしやすくもあります。
2ちゃんねるや5ちゃんねるなどの大手掲示板サイトはサイト自体のパワーも強く、インターネットで検索した際に検索結果の上位に表示されてしまいやすいという問題もあります。中には「sogno」のように会社の愚痴を書き込む事を目的とした掲示板もあるため、注意が必要です。
口コミ投稿サイト
監視対象例
- 食べログ
- ぐるなび
- Hot Pepper
- 転職会議
- キャリコネ
- カイシャの評判
- amazonレビュー
- Google Map
など
口コミ投稿サイトは、「転職」や「外食」など基本的に目的が定まっている人が閲覧する可能性の高いものです。それを逆手にとったライバル企業に嘘の悪評を書き込まれてしまう場合もあります。
口コミとして風評が書かれてしまっている場合、採用辞退に繋がったり、来客の減少に繋がったりする事が考えられます。また、amazon等通販サイトのレビューがスクリーンショットをされてX(旧:Twitter)で拡散されたという例もあるため、しっかり監視しておく事がオススメです。
風評監視サービスってどんなもの?
風評監視のサービスは大きく2種類に分けられます。どちらか一方・または両方を組み合わせて利用する事で、個人で風評監視を行うよりもずっと効率的に効果を出す事ができます。
風評監視ツールの利用
ひとつ目は、風評監視ツールを導入して、自社で監視を行う方法です。あらかじめ企業名や商品名、個人名を登録し、登録したワードとネガティブなワードが一緒に投稿された場合にメールなどで知らせてくれる機能などを駆使して、風評をいち早く検知できるようにします。
風評監視ツールのメリット
誹謗中傷対策会社に有人監視を依頼するよりも安価であり、自社で監視を行うとはいえ24時間ずっと見続ける必要もないため、比較的取り入れやすい風評監視サービスだと言えます。
登録されたワードをシステムで自動的に取得するため、チェック漏れが少ないというのもメリットと言えるでしょう。
風評監視ツールのデメリット
登録されたワードの情報のみで判断するため、前後の文脈を判断出来ない点が風評監視ツールのデメリットです。
システムの精度にもよりますが、特定のワードが入っていれば「風評」と判断してしまうので、前後を見れば実際は全く風評でないものを「風評である」と判断してしまう場合もあります。また、投稿内容を閲覧するためにログインが必要な口コミサイトは、風評監視ツールでの監視は基本的に不可能と言えます。
有人監視サービスの利用
ふたつ目は、有人監視サービスを利用する方法です。こちらは、有人での監視を誹謗中傷対策会社へ依頼する形となります。
こちらは企業名や商品名、個人名を検索し、人の目を使って監視をします。24時間体制で行っている会社もあれば、営業日の定時監視を行っている会社など監視方法は様々です。
有人監視サービスのメリット
有人監視の一番のメリットは、風評監視ツールのシステムでは検知できないような、前後の文脈を考えた風評の判断が出来るという点にあると言えます。
さらに、特定の口コミサイトなど、ログインをしなければ閲覧できないサイトの監視も可能である事も大きなメリットです。
有人監視サービスのデメリット
監視の時間が長くなればなるほど人件費がかかってしまう(=金額が高くなってしまう)のが、有人監視サービスの最大のデメリットと言えるでしょう。
まとめ|炎上時は早急な対処が必要!日頃から風評監視を徹底しよう
インターネットが普及し、利用者数も増えた現代では、企業が自社やサービスをアピールできる場所やアプローチできる人の範囲が各段に広くなりました。しかし、それに伴い炎上のリスクも増え、いつどこで炎上の火種が発生するかは誰にも予測がつきません。
炎上を未然に防ぐのはもちろん、万が一炎上が起こってしまった場合でも早急に対処を行えば、被害は最小限に食い止められます。早急な対処のためには、炎上に繋がる投稿をどれだけ早く見つけられるかが鍵となります。日頃から風評の監視をしっかり行い、炎上の対策を万全にしておきましょう。
大企業、官公庁を含め1500名以上が受講した、SNSリスクリテラシー研修。
企業の風評対策実績10年以上のプロフェッショナルが、炎上を知り、未然に防ぐための社員研修を代行致します。
その他にもネット上の投稿、口コミの監視など、炎上予防や風評対策のための様々なご提案が可能です。
清水 陽平