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コンプライアンス経営の重要性をわかりやすく解説!

コンプライアンス経営の重要性をわかりやすく解説!

コンプライアンスは「法令遵守」を意味することはよく知られていますが、守るべきことは法律だけではありません。

多様性の広がる現代社会では、社会規範やモラル等も含め、広義で解釈することも必要です。

健全なコンプライアンス経営を目指すために必須な知識や心構え、成功のポイントまでわかりやすく解説していきます。

これから経営を始める方や、自社のコンプライアンス対策が不十分と感じている、中小企業の取締役の方にぜひ読んで頂きたい内容です。

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コンプライアンス経営の定義

コンプライアンス経営の定義

コンプライアンス経営とはその名の通り、企業コンプライアンスを軸とした企業倫理を確立させることや、リスク管理等を徹底した経営を行うことです。

コンプライアンス経営が重視されてきた背景

コンプライアンス経営が重視されてきた背景

企業による不祥事は、経営悪化をはじめ、デジタルリスクや企業存続に及ぶまで深刻な問題とされてきました。

昨今、こうした事象が増える中、株主や消費者から見られる目も厳しくなり、企業イメージを保つ上でもコンプライアンス経営を行うことが必須となったのです。

経営者が持つべき責任意識

経営者が持つべき責任意識

経営者は企業におけるトップとして、「自社で不祥事を起こさせない」という責任意識を持つことが重要です。

まして、経営者や経営層が不祥事に関与し、企業に大規模な損害を与えることだけは絶対に避けなければなりません。

自身の進退のみならず、自社の関係者全体にも影響を与えかねないため、コンプライアンス経営を行う上では、短期的ではなく長期的な利益を優先させることが大切です。

コンプライアンスの違反事例

コンプライアンスの違反事例

コンプライアンス違反と一口に言っても、様々な事象が考えられます。事例ベースで、自社のリスクを事前に想定しておきましょう。

違反が起こることにより生じるリスクや、事後の結果なども含めていくつかご紹介します。

労働基準法違反

某、大手電機メーカーの子会社で働いていた男性従業員が、長時間労働を苦に自殺した問題で労災認定されました。

労働基準監督署によると、この男性は月の労働時間が100時間を超えていたそうで、企業側には労務管理上の問題があり、発注元とのやりとりにおいても精神的ストレスを抱えていたとのことです。

事後について

企業側も長時間労働の事実を認め、「当社員の心身の健康維持増進に一層努めてまいります。」と公式に謝罪コメントを出しています。

粉飾決算

某振袖販売・レンタル業者が、成人式の当日に突然の店舗閉鎖を行い、連絡が取れなくなり、新成人が大混乱となり炎上しました。

警察への被害届も多数出され、同社の代表は雲隠れする等、非常に悪質な事件でした。

事後について
  • 元社長は詐欺罪に問われ、実刑判決が言い渡されました。
  • インターネットの掲示板やSNSでも個人情報などが拡散され、現在でも残り続けています。

製品偽装

某部品メーカーで、必要な製品検査を行わず工場出荷していたことが明るみとなりました。

偽装による実害こそ認められなかったものの、8年にも渡り、検査の怠慢とデータ偽造を行っていたことは非常に大きな問題として取り上げられたのです。

事後について
  • 取締役役員が記者会見で陳謝しましたが、過去にも複数回、同様の不祥事を起こしている事実もあり、世間の目も厳しく、激しく批判されました。
  • 現場レベルでは、再発防止を強化していたにもかかわらず、従業員間での意識の差が浮き彫りとなりました。

情報漏洩

某大手通信教育会社の個人情報流出事件で、同社のグループ企業の派遣社員が個人情報を不正入手し、売却していたことが判明しました。

事後について
  • 個人情報を業者に販売した元派社員は逮捕され、企業側も、調査費用や対策費用、補償金等の捻出によって、136億円の最終赤字となりました。
  • 社会的信頼も失い、脱会者の増加や新規入会者の減少が起こりました。

そのほかの違反事例はこちらの記事でも紹介されています。

コンプライアンスの考え方を基礎から徹底解説!
コンプライアンスの考え方を基礎から徹底解説!【弁護士監修記事】コンプライアンスにおける基礎的な知識から、重要とされている理由、違反した際に問われるリスク等も含めてご説明します。また、コンプライアンスの考え方を深めるために重要な、CSRとの関係についても触れたいと思います。...

CSRとコンプライアンス経営の関係性

CSRとコンプライアンス経営の関係性

実は、CSRとコンプライアンスは重要な関係性にあります。CSRの意味について再度確認し、大切なポイントも押さえておきましょう。

CSRとは?

企業の社会的責任を意味する、CSR(Corporate Social Responsibility)ですが、自社の利害関係者への果たすべき責任や社会貢献に至るまで、非常に幅広い定義となっています。

また、企業ごとによって担う責任の内容や社会的な役割は異なるため、自社の持つべき課題に向き合ってCSRを作っていく必要があるのです。

CSRの3つの重要項目

CSRには、次の3つの重要項目があります。

企業倫理について

法令遵守のみならず、自然環境や社会環境、人権保護に至るまでの道徳的な観点から企業活動を規程することです。

また、組織を統率する上での考え方や仕組み作り、運用方法まで含まれています。

内部統制について

企業活動において、事業目的や経営目標を遂行するために必要な規程やシステムの整備、適切な運用を行うことです。

業務の効率性や有効性、財務報告の信頼性、事業における法令遵守と資産の保全の4つの目的の達成が求められます。

SDG’sについて

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)を指す言葉で、2030年までに達成することを目的とする国際的な目標です。

持続可能な開発目標 | 国連開発計画(UNDP)

消費者側も、社会的な課題を意識した購買を行っていく中で、SDG’sの観点で企業活動を行うことで、結果として企業イメージ向上にもつなげることができます。

このように、CSRで求められている社会的責任を果たすことによって、必然的にコンプライアンス経営につなげることができるのです。

コンプライアンス経営を成功させるポイント

コンプライアンス経営を成功させるポイント

コンプライアンス経営を成功させるために、どのようなことを実施すべきか具体的に説明していきます。

まずは、自社で優先すべきことや実施していない項目等を精査する必要があるでしょう。

大枠でまとめると次のようなポイントがあります。

企業の行動指針の策定

まずは、行動指針についてですが、具体的な内容に関しては企業ごとで異なってきます。「企業全体として」と、「従業員個人として」の2つの観点が必要です。

着目する点は特に、企業活動における基本的な判断基準をどうするか、というところから考えてみましょう。

Googleの行動指針は、「Google が掲げる10の事実」という意味深なタイトルながら、非常に分かりやすい内容となっていますので、例として紹介します。

Googleが掲げる10の事実

参考:「Google が掲げる10の事実」

内部監査

内部監査は、経営全般に対する助言や勧告、支援を行う独立部門のことを指します。

内部監査には、コンプライアンスにおける問題点を早急に洗い出し、未然防止につなげる予防法務としてのメリットと、監査を行うことで、コンプライアンス意識の啓発にもつなげることができます。

コンプライアンス経営の書籍紹介

コンプライアンス経営の基礎からしっかりと学びたい方におすすめの書籍を紹介します。

「コンプライアンス経営のガイドブック」と謳われているだけあり、企業コンプライアンス体制の構築について、事例ごとのケーススタディやノウハウ、実践まで、体型的に学習できます。

図解 コンプライアンス経営(第4版)

参考:図解 コンプライアンス経営(第4版) | 陽一郎, 浜辺 |本 – アマゾン

コンプライアンス研修の実施

コンプライアンス研修の目的は、従業員に対して、コンプライアンスの重要性や起こり得るリスクを自覚させ、企業独自のポリシーやガイドライン、就業規則等を周知徹底させるために行います。

自社課題を明確にし、そこに合わせた事例を用意することも重要です。

そのほかのポイントはこちらの記事でも紹介されています。

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カギとなるのはSNS対策

カギとなるのはSNS対策

コンプライアンス経営が重要視される中で、SNSに対するリスクマネジメントにも注目が集まっています。

スマートフォンとSNSが普及した現代において、避けて通ることのできない問題なので、対策ポイントについても必ず覚えておきましょう。

ガイドラインの策定

近年、SNS関連のトラブルによって、企業が受ける損失やリスクは計り知れないものとなっており、SNSの公式アカウント等を運用している企業は必ず取り入れています。

また、運用における属人化を防ぎ、投稿の質も担保する目的でも機能するでしょう。

事例の一つとして、日本コカ・コーラ株式会社のガイドラインをご紹介します。

コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針参考:コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針

SNSの運用担当のみならず、SNSに関わる全ての従業員を対象としているところがポイントです。

また、公式サイトに掲載されているものなので、誰が読んでもわかりやすく、意図の伝わる内容になっています。

違反投稿の監視

SNSにおける最たるリスクは、投稿を火種とする「SNS炎上」です。

SNSアカウントの運用上のリスクのみならず、個人のプライベート利用に関しても注意を配る必要があります。

不適切な投稿を一早く発見することで、炎上を未然に防ぐことや事後の対策余地を残す目的もあるのです。

また、従業員に取り組みをアナウンスすることで、意識改革の一因にもなるでしょう。

こちらの記事では、SNS監視について詳しく取り上げています。

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リテラシー研修

SNSリスクを防ぐ目的で最も重要な取り組みは、社内研修を行うことにあります。

研修の実施は、基礎リテラシーの向上につながるだけでなく、ガイドラインやポリシーの周知にも役立ちます。

普段当たり前のように使っているものだからこそ、コンプライアンスとの関わりについてより多くの理解を深めたいですね。

こちらの記事でもSNSのリスクマネジメントについて紹介されています。

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コンプライアンス経営は企業と従業員を守るために必須!

コンプライアンス経営は企業と従業員を守るために必須!

コンプライアンス経営は今や、中小企業にとっても必須の考え方となっています。

経営者として企業の利益を存続させることは勿論ですが、従業員を含む、取引先や株主等との関係性についても今一度理解し、環境作りから整えていきましょう。

そのために必要な体制や、企業全体の意識の統一化をはかるために、研修もしっかりと行っていきたいですね。

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監修者
法律事務所アルシエン 共同代表パートナー

清水 陽平

清水陽平弁護士
2007年弁護士登録(60期)。2010年11月法律事務所アルシエンを開設。ネット中傷の削除、投稿者の特定、炎上対応などインターネット分野の法律問題に取り組んでいる。総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022年~)の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を務める。