企業や店舗のアピールのために頻繁に利用されるようになったGoogleマイビジネス。新しいお店に行くときや企業の情報を見たい時、Googleビジネスプロフィールに登録されている情報はとても参考になります。
Googleビジネスプロフィールでは、ユーザーが自由に口コミを投稿する事も可能です。ポジティブな口コミが入っている場合はありがたいことですが、サービスに不満を持ったユーザーがネガティブな口コミを行う事もしばしばあります。
中には店舗に損害が出るような嘘や誇張表現を使った違法口コミを投稿されて困っている企業もいます。
本記事では、Googleビジネスプロフィールにネガティブなコメントをされてしまった場合の対処法や、違法と認められる口コミの削除方法、違法口コミを投稿した犯人の特定手順などを解説します。
Googleビジネスプロフィール(マップ)とは
Googleの公式サイトでは、Googleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)について以下のように説明されています。
Google ビジネス プロフィールでは、マップや検索などの Google サービスでローカル ビジネスをどのように表示するかを管理できます。
実店舗に顧客を迎え入れてサービスを提供するビジネスや、エリア限定でサービスを提供するビジネスを営んでいる方は、ビジネス プロフィールを活用すればユーザーにビジネスをアピールすることができます。
Google でのオーナー確認を済ませているビジネスは、ユーザーからの信頼度が倍増する傾向があります。
引用:Google(https://www.google.com/search?q=原宿+カフェ)
上の画像はGoogleで「原宿 カフェ」と検索してみた場合の例です。検索結果の上位に、原宿にあるカフェの地図と、原宿エリアにあるカフェのリストが表示されました。
店名や住所だけではなく、最高5つ星で表示される評価や、口コミの数などもこの画面から確認できます。普段Googleを利用する人なら、ビジネスだけではなくプライベートでもこのような表示を見た事のある人は多いと思います。
Googleビジネスプロフィールは、「Googleのサービスに企業や店舗のローカル情報を登録しておく無料ツール」のこと。実店舗を持っているビジネスやエリア限定サービスを提供するビジネスを運営している人にとっては、とても有用性のあるツールです。
ビジネス情報を登録する事によって大きく次の3点のメリットを得る事ができます。
【Googleビジネスプロフィールを利用する3つのメリット】
オンライン上に自分の行っているビジネス情報を最新かつ正確な状態で維持できる
Googleビジネスプロフィールには店舗の営業時間や公式ホームページ、住所や電話番号などの連絡先を登録しておく事が出来ます。
「Googleマップアプリ」を利用すれば、自分のスマホからも一部の登録情報の変更を簡単に行う事が可能です。
客となるユーザーと交流を行うことができる
Googleビジネスプロフィールでは、店側が店舗の外観や内装、商品の写真を登録できるだけでなく、店舗やサービスを利用したユーザーが口コミを投稿することができます。
ビジネスプロフィールのオーナーもその口コミに対して返信を送ることができるため、コメント欄でユーザーとの交流を図ることが可能です。
新規顧客に向けたアピールができる
引用:Google(https://www.google.com/search?q=エルプランニング)
Googleビジネスプロフィールは、上の画像のように検索結果画面の中でも目立つ位置に表示されます。
つまり企業や店舗の名前を検索した際に、この場所に店舗の正確な情報が登録されていることによって、店舗の名前で検索したユーザーをしっかりと公式ホームページなどに誘導する事が可能です。
参考:Google ビジネス プロフィールについて – Android – Google ビジネス プロフィール ヘルプ
Googleビジネスプロフィールの重要性とは?風評口コミを投稿されるとどうなる?
Googleに投稿された口コミは、Googleの検索結果の目立つところに表示されるため、検索を行うユーザーの目にも留まりやすくなります。
とくに、新規顧客となるようなユーザーは店選びをするためのひとつの指針として口コミをチェックしておく場合も少なくはないでしょう。
もしも自社のGoogleビジネスプロフィールの口コミに風評や虚偽の内容、自社とは全く関係のないネガティブな内容が掲載された場合、そういった新規顧客になり得るユーザーが、口コミに掲載されている投稿を見てネガティブな印象を持ってしまう恐れがあります。
Googleビジネスプロフィールはどのような企業でも情報を登録する事が可能ですが、メインで活用できる層はサービス業が多いとされていることも覚えておきましょう。
Googleの口コミの信憑性は?
Googleの口コミがどの程度見られているのか、どのように利用されているのかの参考として、Twitterの投稿を集めてみました。
引用:Twitter
こちらの投稿をした方は、自身の体験とGoogleの口コミを合わせて判断しています。新しい病院を探す際にはある程度Googleの口コミ等の評価を参考にしていると伺える発言もありますね。
引用:Twitter
一方こちらの投稿は、経営者側としての口コミの重要性について発言している投稿です。「サービスに自信があるなら口コミの評価は気にしなくても良い」という意見もありますが、元々ポジティブなイメージや中立的なイメージを持ってお店を検索してくれたユーザーが、意図せずネガティブな評価を見てしまうのは経営側にとっても悩みの種となっているようです。
引用:Twitter
ただし、その他の投稿では上記の画像のように「投稿された口コミを完全に鵜呑みにする事はないものの、Googleビジネスプロフィールは良い評価も悪い評価も中立に表示してくれる」というイメージを持った方の投稿が多く見受けられました。
「中立的だ」というイメージが大きいからこそ、ネガティブなイメージを持たれてしまうような虚偽の投稿はしっかり対処すべきだと言えるでしょう。
Googleのネガティブな口コミに対してまず行っておくべきことは?
Googleビジネスプロフィールにネガティブな口コミが投稿されてしまった時、ビジネスの管理者はどのような対策を行えば良いのでしょうか?
書き込み相手を特定する作業を行う前に、まず行うべき対処の方法について見ていきましょう。
Googleに「違反報告」を行って口コミの削除を求める
最初に推奨させていただくのは、Googleのポリシーに反している書き込みに対して違反報告を行って解決をはかってみるという方法です。
書き込みを行った相手を突きとめ何らかの罰を与える事は出来ませんが、この方法で口コミが削除されれば、ネガティブな口コミを見た別の新規顧客から悪いイメージを持たれてしまう事を防ぐことができます。
報告の前に、以下の注意点を踏まえておきましょう。
内容に不満があったり気に入らなかったりしても、そうした理由ではクチコミを報告しないでください。
特定のユーザーが持つ感想については、販売者とユーザーのどちらの見解が正当かを確実に判断する方法がないため、両者の意見の相違について Google が関与することはありませんのでご了承ください。
引用:Google のビジネス プロフィールからクチコミを削除する – パソコン – Google ビジネス プロフィール ヘルプ
Googleのポリシーについての詳細は後に詳しく触れる事にしますが、報告を行う前に必ずポリシーが記載されているページを確認しましょう。ポリシーに違反している口コミはGoogleに報告することが可能です。
Googleビジネスプロフィール管理者が悪質な口コミの違反報告をする方法
自分がGoogleビジネスプロフィールの管理者だった場合の違反報告の手順を確認していきましょう。
- Googleマイビジネスにログインします
- 左側のメニューから「クチコミ」というリンクをクリックします
- 表示された口コミの中から違反報告を行いたい口コミの右側にある縦3点のアイコンを選択し、「不適切なコメントを報告」をクリックします
また、Googleでは口コミを含む全てのコンテンツにおいて、以下に当てはまるものの投稿や掲載を禁止しています。
【Googleで禁止されているコンテンツ】
- スパムと虚偽のコンテンツ
- 関連性のないコンテンツ
- 制限されているコンテンツ
- 違法なコンテンツ
- テロリストのコンテンツ
- 露骨な性的表現を含むコンテンツ
- 不適切なコンテンツ
- 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ
- なりすまし
- 利害に関する問題
上記の中でも特にGoogleビジネスプロフィールの風評口コミにおいて注目すべきなのは、1番目の「スパムと虚偽のコンテンツ」です。
この項目では「評価を操作する目的で投稿されたコンテンツ」や「虚偽のコンテンツ」「同一の場所に関するコンテンツを複数のアカウントから投稿すること」などが禁止されています。
Googleビジネスプロフィールの口コミが削除できるかどうかは、「投稿された口コミが虚偽である」など、明らかに悪質であるということが証明できるかどうかが大きな鍵となると言えます。
元々、Google側でもスパムの自動検出プログラムを使用しており、スパムの可能性の高い口コミに関しては自動で削除される可能性があります。この方法で報告された口コミに関してはGoogleの審査が入り、不適切だと認められた場合は削除される仕組みです。
なお、審査結果が出るまでは数日かかる場合がありますので覚えておきましょう。
管理者ではない第三者が悪質な口コミの違反報告をする方法
引用:Google
Googleビジネスプロフィールでは、ビジネスの管理者ではなくてもGoogleのアカウントを持っているユーザーなら不適切な口コミを報告する事が可能です。
ビジネスプロフィールの情報やマップの口コミを開き、上の図のような旗マークをクリックすることで違反報告ページに飛ぶ事が出来ます。この場合も、あらかじめGoogleのポリシーに違反しているかどうかをよく考えた上で報告するようにしましょう。
ネガティブな口コミを活かしてサービスの向上を図る事も効果的
ネガティブな口コミであったとしても、その口コミがGoogleのポリシーや法律に違反していると認められなかった場合は、削除することが難しいと言えます。また、具体的な口コミの書き込みがなく、星(五段階評価)1や2の評価だけつけた投稿の場合も違反とは言えず削除する事は困難です。
そういった「どうしても削除できない書き込み」からのイメージダウンを軽減する方法として、「口コミへの返信」という方法があります。
ビジネスプロフィールに投稿された口コミに対し、投稿されたビジネスプロフィールの管理者は返信を行う事ができます。口コミの詳細を開いた際に、口コミの下に「オーナーからの返信」という項目が付いたものを見た事がある方もいるのではないでしょうか。
この返信を行う際に、評価に対するお礼とともに「口コミの内容を受けて、今後はサービスの改善などの努力をしていく」という意思や具体的な改善案を丁寧に伝えることはとても大切です。
管理者がしっかりと対応している事や、ユーザーが時間をかけて書いた意見を細かく確認していることが文章として残るため、投稿者だけではなく後々投稿を見た第三者からのネガティブなイメージを軽減することが出来ます。
企業にとってはネガティブでできれば削除したいと思うような口コミであっても、書き込みが真実であった場合は必ず丁寧な謝罪をし、ユーザー視点から問題点を提示してくれた事に対する感謝も忘れないようにすることが大切です。
Googleの口コミが違法だと認められなかった場合
Googleへ投稿された口コミが違法ではないとされ、投稿者の特定や書き込みの削除が難しい場合は、書き込まれたネガティブな口コミよりもポジティブな口コミが多くなるような企業努力をしていく事が大切です。
サービスがより良いものになれば、自社に寄せられる評価(星)やコメントの相対評価を上げることが出来ます。
前の項でも触れたように投稿されたコメントをしっかりと受け止めた上で、ポジティブなコメントにはお礼や次回の来店に繋がるような案内を返信したり、ネガティブなコメントには丁寧な謝罪や具体的な改善案を返信したりする事が有効です。
自社で効果的な運用を行うのが難しかったり、最適な管理方法に悩んだりした場合は、Googleビジネスプロフィールの運用コンサルティングを受けてみるのも良いでしょう。
自社のビジネスプロフィールにおける問題点と改善点を指摘してもらえるだけでなく、中には多様な機能を持つビジネスプロフィールの面倒な設定まで依頼できる会社もありますので、店舗などの運営で手一杯だという企業でも安心です。
Googleビジネスプロフィールの口コミを書いた人物は特定できるの?
Googleビジネスプロフィールの口コミとして掲載された情報は多くの人の目に留まり、インターネットユーザーからの信憑性もあるという事がわかりました。
虚偽のネガティブな情報を投稿されてしまった場合、その企業は既存ユーザーからの信頼を失ったり新規ユーザーから敬遠されたりするなど想定外の被害を受ける事もあります。
では、故意に虚偽の口コミを投稿するなど違法な書き込みを行った投稿者を特定し、訴えたり損害賠償の請求をしたりするには一体どうしたら良いのでしょうか。
結論から言うと口コミの内容に違法性が認められる場合、投稿者のIPアドレスの開示をGoogle本社に請求することになります。IPアドレスとは、簡単に言うとインターネットにおいて、ネットワーク上の機器を識別するための番号と言え、「インターネット上の住所」などとも例えられます。
まずは、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」に則って「発信者情報開示請求書」を送ることが考えられます。(発信者情報開示請求書の書式は、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した書式があります)
しかし、「発信者情報開示請求書」を送っても、Google側は任意で情報を開示してくれる事はありません。
そこで、裁判所に対し「発信者情報開示仮処分命令申立」を行うことが必要です。
発信者情報開示の仮処分が認められるためには、Googleに書き込まれた口コミが「名誉毀損」や「権利の侵害」である事が明白だと説明できるようにしておく必要があります。
プロバイダを特定し、さらに発信者(犯人)の特定を行う
仮処分が認められると、裁判所の命令によってGoogleから投稿者のIPアドレスが開示されます。開示されたIPアドレスをもとに「ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】」などのIP検索ツールを使って、相手の利用しているプロバイダ情報を引き出しましょう。
Googleに違法口コミを投稿した犯人のプロバイダ情報が判明したら、今度はそのプロバイダに対して「発信者情報開示請求訴訟」を行い、契約者情報(プロバイダ契約者の個人情報)の開示請求を行います。判決で開示が認められればプロバイダ契約者の個人情報が開示されます。
この「Googleに違法口コミを行った相手を特定する」という一連の作業が完了するまでに最低2回(もしも「発信者情報消去禁止仮処分申立」を行った場合は合計3回の裁判を行うことになります)の裁判を行う必要があり、期間は約1年程度かかります。
この作業が完了して初めて、口コミを行った相手に対し刑事罰を与えたり慰謝料を請求したりするなどの本来の目的と言える行程に取り掛かる事が出来るので覚えておきましょう。
発信者特定の作業は、法律の詳しい知識がある被害者本人であれば個人でも行う事は可能です。
しかし、特定までにかかる時間や労力等を鑑みてもインターネットのトラブルに詳しく解決の実績がある弁護士に相談し、協力してもらうのがベターと言えます。
さらに、Googleに違法と認められる口コミを書き込んだ犯人を特定したい場合、書き込まれてから発信者情報開示請求訴訟を行うまでの動きをいかにスピーディーに行うかも解決のためには重要となってきます。
Googleの本社がアメリカである事もあり、対応が早くない事や、裁判で争っている間にGoogle側が書き込んだ犯人のログを(保存期間が過ぎてしまった事を理由に)削除してしまう場合もある事が理由です。
参考:「Googleマップに悪評」歯科医が受けた不条理 開示命令に「記録ない」と言われ、投稿者わからず (弁護士ドットコムニュース – 弁護士ドットコム)
まとめ|Googleの悪質な違法口コミは投稿者特定も可能!スピーディーで丁寧な対応を心がけよう
Googleビジネスプロフィールに書き込まれたネガティブな口コミは、Googleへの信頼度の高さから「参考になる」と考える人が一定数います。そのため、悪い口コミがあるにも関わらず放置するのは得策とは言えません。
まずは投稿された口コミの内容をしっかりと受け止め、丁寧かつ誠実にコメントを返信するなど前向きに改善を行っていく意思をアピールする事でイメージの回復を図りましょう。
また、自社に大きな損害が出るような違法口コミが投稿された場合、投稿者の特定は可能です。しかし、投稿者を特定するまでには最低2回の裁判や長い時間が必要になってくる事も理解しておきましょう。
「投稿者の特定」は、裁判や書類作成のために法律の専門知識が必要になるため、どうしても特定したい場合はインターネットのトラブルに明るい弁護士に相談するのがオススメです。
もし投稿されたネガティブな口コミが違法と認められなかった場合や、自社の力だけではGoogleマイビジネスの運用や口コミの管理が難しいと感じた場合は、プロの業者に相談してみるのも良いでしょう。
ネットの誹謗中傷、風評対策のプロがお悩みを伺います。
風評サイトやサジェストのお悩みのほか、SNSや口コミサイトの監視など、幅広くご対応可能です。
清水 陽平